内容説明
【紹介記事掲載情報】
2021年8月28日 日本経済新聞(書評)『ホワイト・フラジリティ ロビン・ディアンジェロ著 「人種差別は白人の本質」喝破』評者:渡辺靖(慶応義塾大学教授)氏
2021年7月24日 朝日新聞(書評)『ホワイト・フラジリティ』評者:生井英考(立教大学アメリカ研究所所員)氏
【内容紹介】
私は差別などしない――だが、それは真実か?
私は相手の肌の色など気にしない。人格で判断すべきと分かっているから――だがこうした差別の否認は、白人の心の脆さ(ホワイト・フラジリティ)と特権を示しているだけだ。マジョリティ誰もが人種差別主義(レイシズム)を抱える根拠と対処法を明示し、米国で大反響を巻き起こしたベストセラー。
目次
はしがき
序 ここからはたどり着けない
Ⅰ レイシズムについて白人と話すのはなぜ困難か
Ⅱ レイシズムと白人至上主義
Ⅲ 公民権運動後のレイシズム
Ⅳ 人種は白人の生活をどう形作ったか
Ⅴ 善/悪の二項対立
Ⅵ 反黒人性
Ⅶ 白人にとって何が人種をめぐる引き金となるか
Ⅷ 白人の心の脆さという結論
Ⅸ 白人の心の脆さによる行動
Ⅹ 白人の心の脆さと関与のルール
XI 白人女性の涙
XII ここからどうすればいいのか
寄稿 カイザー・ソゼ、ビヨンセ、証人保護プログラム[マイケル・E・ダイソン]
監訳者解説[貴堂嘉之]
註
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
84
White Fragility(白人の心の脆さ)とは、白人たちが人種をめぐる問題に向き合えないことを表現する言葉で、著者の造語。そこでみられる白人の反応は、人種をめぐる状況に直面したときに沈黙、自己防衛、反論、自分は違うという確信である。これは白人至上主義の社会化の結果であり、白人の優越性を守り、維持し、再生産し、自身の意図や自己像にかかわりなく人種差別的な行動を繰り返すように仕立てられているという。うーん、なんか難しいことを言っているな。→2022/03/12
あたびー
37
ホワイト・フラジリティとは、レイシズムの存在を指摘されたとき白人がそれに立ち向かえずに否定的反応をする行動のことで、著者によって提唱された言葉である。レイシストと言うのはトランプやKKKの様な悪人のことであって、自分は違うという訳だ。しかし米国白人社会は長年に渡り綿密で巧妙な手法を使い、白人優位主義を意識せずとも(白人が)享受できるというシステムを作り上げており、白人の家庭に生まれれば誰でもその恩恵(軛?)から外れることはない。本書ではその研究の第一人者であり反レイシズムの旗手でもある著者が(つづく)2021/07/09
読特
35
BLM運動が起こったのは2020年。アメリカの人種差別問題の根深さを思い知らせれた。レイシズムは国の成り立ちと供にあった。それは「制度」「構造」の中に組み込まれてしまっている。白人が何気なく発した言動。差別と指摘され、倒錯する。誰もが差別主義者とはみなされたくない。脆い心が解決を遠のかせる。・・日本に存在する多くの差別。背景の違い。単純比較はできない。批判に晒された後に抵抗したくなる気持ち。過度の攻撃は反動につながる。目的は差別をなくすことであり、人の糾弾ではない。学ぶべきところを誤ってはいけない。2022/05/01
かもめ通信
30
たとえば「それ偏見だよ」「ずいぶん差別的だね」と、誰かに指摘されたら、おそらく私は躍起になって「そんなことはない」「それは誤解だ」と弁明するだろう。場合によっては、「人権問題には若い頃から積極的に関わろうとしてきた」「私には○○の友だちだっている!」などと口走るかもしれない。でも、違うのだ。私の中には確かに、なんらかの偏見があり、意識的ではないにしろ差別的な発言をしてしまうことだって十分あり得る。そう自覚して、自分の中のあれこれを常にアップデートしていく必要があるのだと改めて肝に銘じる。2021/08/09
Satoshi
20
KKKのような分かりやすい差別ではなく、リベラルな白人も無意識に差別をしており、それを指摘された場合、非常に脆い。それをホワイトフラジリティと著者は呼んでいる。統計的に見れば白人優位は歴然としており、差別される黒人に白人が同情をよせることすら、差別を含んでいると著者は指摘する。自分なりの答えが見つからないが、奴隷制度から続くアメリカの病理なのかもしれない。映画「ゲットアウト」の白人コミュニティを思い出した。2022/08/15