内容説明
宗教的な現象の「意味」の解明はいかにして可能か?
オーストリア、スペイン、ドイツ、米国、日本の学者たちがアルフレッド・シュッツの諸理論を宗教現象の現象学的理解に応用し、シュッツ流「宗教現象学」の可能性を拓く。
学術誌『ヒューマン・スタディーズ』第40号(2017年)の特集「アルフレッド・シュッツと宗教」の全訳。
那須壽氏(早稲田大学名誉教授)推薦!
「現象学的なシュッツ理論を導きの糸に、生きられた宗教と真摯に向き合うなかで紡ぎ出された本書所収の諸論稿との対話を通して、読者は、宗教がいかに人間存在と本源的に関わっているかに気づき、宗教現象を読み解くカギを手にすることになるだろう。」
目次
はじめに
凡例
序論 アルフレッド・シュッツと宗教現象学――曖昧な領域の探究[ミハエル・シュタウディグル]
第一節 アルフレッド・シュッツの現象学
第二節 本書に収められた各論文について
第一論文 〈宗教的な限定された意味領域〉における〈働きかけの世界の実利的傾向〉への抵抗[マイケル・バーバー]
序論――形相と至高の意味領域
形相
至高の意味領域
働きかけの世界の実利的性格
第一部 実利的傾向に対する、〈理論的・観照的な限定された意味領域〉と〈文学的な限定された意味領域〉における抵抗
第二部 宗教的な意味領域
結論
第二論文 生活世界、下位世界、死後の世界――多元的現実の多様な「現実性」[ルーツ・アヤス]
序論
第一節 多元的現実の中心としての日常生活世界の現実
第二節 限定された意味領域の現実性
第三節 生活世界、死後の世界、究極の意味領域
結論
第三論文 刑務所におけるヨーガ――超越、霊性、自己改善[マー・グリエラ]
序論
第一部 事例の構成――カタロニア地方の刑務所におけるヨーガとホリスティックな霊性
第二部 理論的枠組み――ヨーガ、ホリスティックな霊性、超越の具体的体験
第三部 主な調査結果
結論
第四論文 シュッツ流の「祈り」の分析――言語哲学の観点とともに[ケイジ・ホシカワ/ミハエル・シュタウディグル]
序論――「祈り」を分析するための現象学と分析哲学との融合
第一節 現代における宗教と、宗教の中核/本質としての祈り
第二節 祈りとシュッツ現象学
第三節 祈りと言語哲学
第四節 結論的見解
第五論文 宗教と暴力――宗教的コミュニケーションの逆説[イリャ・スルバール]
はじめに
第一節 「聖なるもの」とのコミュニケーションとしての暴力
第二節 宗教的な包含と排除のダイナミックス
第三節 宗教と暴力の相反関係
おわりに――宗教と政治宗教
「あとがき」に代えて――シュッツ流の「宗教現象学」の可能性
はじめに
第一節 宗教現象学とは何か
第二節 シュッツと宗教現象学
第三節 J・タケットの「宗教現象学」批判の紹介とその吟味
おわりに――シュッツ流の「宗教現象学」の可能性
著者の所属、論文名、初出
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