内容説明
世界は謎に満ちている。獄中探偵の事件簿
黄道十二宮を用いたイスラム教の加入儀礼の最中に宗派の導師が殺され、容疑をかけられた新聞記者。急行列車内で起きたロシア皇女のダイヤをめぐる犯罪に巻き込まれた舞台俳優。パンパの大草原を望むテラスで雄牛の行進を眺めつつ刺殺された農場主。下町の安ホテルに集う人々に新来の田舎者がもたらした波紋とその結末。雲南奥地の至聖所から盗まれた宝石を追ってブエノスアイレスへやって来た中国人魔術師の探索行……。身に覚えのない殺人の罪で投獄され、服役中の元理髪店主イシドロ・パロディが、面会人が持ち込む数々の難事件を対話と純粋な推理のみで解き明かしていく。熱心な探偵小説ファンでもあるボルヘスとその盟友ビオイ=カサーレスがH・ブストス=ドメック名義で合作。二十世紀文学の最前衛に位置する二人の作家のもうひとつの貌を教えてくれる、奇想と逆説と諧謔に満ちた探偵小説連作集。
[目次]
H・ブストス=ドメック
序文
世界を支える十二宮
ゴリアドキンの夜
雄牛の神
サンジャコモの先見
タデオ・リマルドの犠牲
タイ・アンの長期にわたる探索
訳者解説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
19番ホール
3
かなりアクが強い安楽椅子探偵もの。饒舌で曲者な依頼者から相談を受ける探偵が、「それってつまり、こういうことですね?」と一瞬で解決していく急転直下感が見どころ。『〜の長期にわたる探索』はネタが面白かった。 にしても、"探偵小説"のフォーマットがあるだけで、ボルヘスの文体がここまで(安心して)読めるとは。規格の偉大さが身にしみた。ボルヘスファンでなければ敢えて読まなくてもいいかも。。。2025/04/30
ふゆきち
3
バカみたいな会話(のようなもの)が楽しい一冊。改訳につられて買ってしまいました。2024/10/01
梅子
2
普段から探偵小説を読む人は耐えられないかもしれないが、私は全く読まないので曲者揃いの証言者にうんざりしてる安楽椅子探偵の悲哀(事件解決したところで自分の冤罪は解決しない)みたいなのを勝手に感じて良かった。最初と最後の作品が面白かったけど集中が途切れると蛇足まみれの証言から事件の全容が掴めないまま推理解決パートに突入する。限定された視野に依存する証言がパズルの1ピースとしてピッタリ当てはまるような全体像を探していくような建て付けだけど、あとがきによると探偵の聞き間違いもあるらしく南米らしいテキトー感が好き。2025/12/13
longscale
2
図書館本。ボルヘスのファン以外は読まなくて良いかも。海外で読まれることを意識していないらしく、知るはずもないネタが多過ぎ。深淵なテーマなどはなく、推理小説としてもとくに驚きはない……。タイトルどおり連作短編集で、安楽椅子探偵モノ。間抜けな訪問者からとりとめもない話を聞かされるのがパターン。最初の事件でドゥルーズ派が出てきて期待したが、別に他の宗派でも構わない扱いで、以降は全く登場せず。いきなり注釈が著者に突っ込む箇所もあり、むしろ翻訳者の読解力に不安を感じた。訪問者がきっちりイカれてる最後の一編が面白い。2025/01/04
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