岩波新書<br> バイリンガルの壁 - 子どものことばの発達をどう支えるか

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岩波新書
バイリンガルの壁 - 子どものことばの発達をどう支えるか

  • 著者名:松井智子【著】
  • 価格 ¥1,056(本体¥960)
  • 岩波書店(2025/10発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004320845

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内容説明

バイリンガルの人が羨ましい? 子どもはバイリンガルにしたい? けれどもそこにはさまざまな「壁」が立ちふさがっている.内外の研究の最新成果をもとに,乳幼児期に子どもが母語や第二言語をうまく獲得するために必要不可欠な環境とは何かを問う.周囲の大人にできること,すべきこととは? 大人の外国語学習の驚くべき効能も!

目次

はじめに
序章 身近になった子どもの「バイリンガル環境」
「移動」の時代から「移住」の時代へ?
バイリンガル児の育つ状況も変化?
どの言語で子どもに教育を受けさせるか
日本で育つ外国人の子どもたちは?
失われつつある「もう一つの言語」とどう向き合う?
バイリンガルの壁をどう越える? 言語発達と環境の関係性
第1章 ことばはこうして使えるようになる――言語発達環境の重要性
言語発達と環境
環境の影響は乳幼児期に最も大きい
言語発達と個人差
家庭での「対話」が言語発達を支える
量だけでなく,質も大切
話しかけ方の良し悪しは何で決まる?
バイリンガル児と養育者との会話
家庭での会話は喜怒哀楽のコミュニケーション
母語での会話から感情を理解する
三〇〇〇万語の格差――貧困の問題
会話のことばの発達
単語から複数語の会話に
第2章 1+1=2ではない――バイリンガル環境での言語と認知の発達
バイリンガルの言語発達――三歳までとそれ以降
二言語発達にベストなタイミングがある?
臨界期と敏感期
早期の二言語発達
語彙数が追いつくのは六九歳!
教育言語の影響
メタ言語力
バイリンガル環境で切り替えが得意になる?
認知症になるのが平均で四年遅いという結果
第3章 早期バイリンガル教育の落とし穴――日常言語と思考・学習の言語の狭間で
早期のバイリンガル教育
バイリンガル教育を選択する理由とは
ネイティブレベルの英語力をつけるには
母語の発達を確実に――母語ではない言語で就学前教育を受ける場合の注意点その①
気持ちを伝えることばの発達――母語ではない言語で就学前教育を受ける場合の注意点その②
言語発達と心の発達は相互に影響し合う
バイリンガルと心の理論の発達
就学後の学習につなげられるか――母語ではない言語で就学前教育を受ける場合の注意点その③
会話は非言語的な手がかりも豊か
学習の理解は言語の持つ情報がベースになる
学習言語の構造
早期バイリンガル教育と学習言語の発達
第二言語での教育をできるだけ早く始めたほうが良い?
早期バイリンガル教育と子どもの言語発達
第4章 効率の良い言語獲得を目指して――二言語相互発達の理論
四年生のスランプ(fourth grade slump)
「リテラシー」の発達
学習言語と生活言語は別物
学習言語能力には何が含まれる?
生活言語から学習言語への連続性
学習言語の発達は言語間で相互依存する
音韻認識が読解力を支える
似ていない二つの言語どうしでも,相互依存的発達が起こる?
効率の良い言語獲得とは――学習言語習得を見据えて
バイリンガル児の言語獲得における「効率」とは
第5章 「言語マイノリティ」という壁
言語マイノリティとは
言語マイノリティの子どもたち
日本生まれ日本育ちの外国人の子どもたち
日本生まれのブラジル人の子どもたちの言語発達
家庭言語が少数派言語(言語マイノリティ)のバイリンガル児
言語マイノリティ児童が抱える言語獲得の困難さ
経済的な困窮
家庭言語の発達が社会言語の発達を促進する
言語マイノリティ児童と「継承語」
海外で言語マイノリティとして日本語を学ぶ日本人の子どもたち
個人内での強い言語と弱い言語
継承語使用と認知的負荷の関係
あいまいさを避ける
非定型への抵抗と言語構造の縮小
継承語学習の認知的負荷を教育者が理解すること
第6章 バイリンガルと障害
発達障害とバイリンガル
バイリンガル発達障害児の言語発達
バイリンガル発達障害児の認知能力(実行機能)
バイリンガル児と言語障害をはじめとする発達障害
特別支援教育を受けるバイリンガル児
言語発達の遅れと発達障害の見立て
第一言語の獲得困難
第二言語の習得の遅れと学習困難
家庭の貧困も
バイリンガル児の言語の発達と心の発達との関係
文型の理解と心の理解の関係
言語と心の発達の遅れが問題行動の原因にも
学校にできること
複数回のアセスメント
日本語指導の長期継続
保護者としてできることは何か
これからの支援について考える
多様性の理解と促進に向けて
バイリンガル児の言語力とウェルビーイング
母語(継承語)の言語力と情緒的ウェルビーイング
おわりに
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

とも

17
言語&認知の学者によるバイリンガル教育についての本。いつからはじめるべきか、弊害など。この本を読んで2カ国語を話せるのはいいことばかりではないことがわかった。2025/12/08

Nobu A

13
松井智子著書初読。最近小説ばかり耽読。反省。久々の仕事関連書。今年10月発刊の新刊ホヤホヤ。最大且つ唯一の収穫はモノリンガル児、バイリンガル児双方に生活言語と学習言語の間に習得の大きな壁が存在すること。前者の方が言語発達過程でその差異を認識し易い。母語と第二言語もしくは外国語両方が中途半端だったら混同するのは容易に推察出来る。この点を闡明したのが大きな学び。腑に落ちる。他方、バドラー後藤裕子先生著「英語学習は早いほど良いのか(15年刊行)」と殆どが被る。上梓のきっかけに御子息を言及。詳細を聞きたかった。2025/12/25

ソーシャ

10
言語発達の研究者である著者がバイリンガルの児童がぶつかる壁を、様々な研究知見を紹介しながらわかりやすく解説した新書。この本でも書かれていますが、バイリンガルのみならずモノリンガルの学習困難児でもぶつかっている壁を詳しく解説しているので、子どもの学習困難の支援をする人は読んでおいたほうがいい一冊です。海外ルーツのある子や海外在住歴がある子の臨床の中でなんとなく気になっていたことがわかりやすく説明されていて、すごく勉強になりました。2025/12/21

Carol

4
これまで私は成人の日本語学習者を対象に日本語の授業をしてきたけれど、この10年ほどで日本語教育が必要な年少者の増加をひしひしと感じている。ある概念を母語で獲得していない場合、どうすれば日本語で理解してもらえるか、日本語教師はどうしてもこのように考えてしまいがちだが、もっと視野を広くもち、日本では接する機会が限られる母語の発達をいかに支援するか、ということもこれからは日本語教師が考えていかないといけないだろうと思った。日本で育つ全ての子どもたちが自分の気持ちを伝えるための言葉を身につけられますように。2026/01/08

Akiro OUED

3
仮説「母語を完璧に操れない=第二言語を習得できない」を明示しないので、論説展開にくどさが見られる。岩波新書編集部が働くママへ忖度したのか。本仮説を拡大解釈すると、日本語習得を託児所に任せっきりにすることは、亡国行為だということだよ。感情を言語化できないガキは、キレる。やれやれ。2026/01/04

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