内容説明
その文章、「自分のため」に書いていませんか?
「伝える」ではない、「伝わる」言葉を、文章を生み出すために、小説家はいつも何を考えているのかーー?
『ゲームの王国』『地図と拳』『君のクイズ』『火星の女王』
祝デビュー10周年! 時代を席巻する直木賞作家・小川哲が、「執筆時の思考の過程(=企業秘密)」をおしみなく開陳!
どうやって自分の脳内にあるものを言語化するかを言語化した、目からウロコの思考術!
☆☆☆小説の改稿をめぐる短編「エデンの東」も収録☆☆☆
小説ーーそれは、作者と読者のコミュニケーション。
誰が読むのかを理解すること。相手があなたのことを知らないという前提に立つこと。
抽象化と個別化、情報の順番、「どこに連れていくか」を明らかにする……etc.
小説家が実践する、「技術」ではない、「考え方」の解体新書。
この本を読んだからといって、「小説の書き方」がわかるわけではない。小説家が小説について考えてきたことを人生にどう活かすか、あなた自身で見つけてくれれば言うことはない。ーー小川 哲
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
266
書き手の事を語っていますが、読み手の事も内包していて、第1章「小説国の法律について」から肯首しっぱなしですよ。頭の中のものを、それも広くて深い思索を理路整然と整理できていて羨ましい。先ず本書の一番の成果は、小川哲さんの頭の中に思い抱いていたものをアウトプットする事により再整理された事なのでしょうね。それを使える部分があれば、どうぞ使ってみて下さいなと。(地の文書以外は)著作権とかがある訳ではないのでね。自由にカスタマイズして。再三絶対的な正解ではないと言ってみえられます。それはそうとして、殆ど謙遜で。2026/01/13
やすらぎ
194
なぜ小説を書くのだろう。なぜ書いてみたいと思うのだろう。その考えを数多の言葉から探してみるが、文章にするとなぜ伝わらないのだろう。何が問題か。言語化するための小説思考。意識の届かないところに発想はある。共感できない部分に価値はある。何を伝え、何を残し、誰のために書くのか。作り手側と読み手側それぞれの気持ち。それぞれに合わせた文章の書き方はあるが、どうしたら面白さにつながるか。伝えるために必要のない情報を削ぎ落とし、加えてはまた削り、生み出された発想は形にならなくても記憶に残り、いずれ小説で紡がれるだろう。2025/11/07
Kanonlicht
122
著者は、小説の価値とは作者が何を伝えるかではなく、読者が何を受け取るかだと説く。つまりは「読者のため」の表現に徹する。ただ、そこには誰を読者として想定するかという命題がついてまわる。万人にとってわかりやすいことは面白さと両立できるのか。これらの考え方を知ったうえで著者の作品を読んでみたい。あらゆる出来事を小説になり得るかという視点でみる著者は、本書の内容ですら一つの小説にして巻末に掲載している。これがまたいい。2025/11/01
道楽モン
98
『群像』での連載をまとめた創作作法本なのだが、出版意図や意義が、私にはピンとこない。キャリア10年という節目なのだろうが、職業作家としては浅い年月だ。そもそも小川哲の長編だが、文章の技術は正直まだまだだと思う。直木賞の『地図と拳』ですら、アマチュア臭が抜けておらず、候補の段階で受賞はまだ先だろうなと感じた程だった。ただ、小川哲の素晴らしさは、溢れんばかりの創作に対する熱量であり、壮大な物語を近い将来に作り得るであろう期待に他ならない。彼個人の創作流儀は固有なものであり、普遍性は皆無だろう。渾身作を待つ。2025/11/03
Koning
93
小説家が小説を書くという行為をどう行うか?と言うと良くある文章の書き方だったり、筋立てのハウツーだったりしそうなものだが『言葉を生みだす過程で働いている思考の動きを言葉にする』というある種メタなコトを、『読者の動物的なバグを利用したハッキング技術』と露悪的に書いているように書かれている。とはいえ各章題がそのど真ん中を撃ち抜く様な快感を得られちゃうという恐ろしくお得な1冊。 2026/01/01
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