内容説明
世界各地で出会った人の家に招かれご飯を食べる。ワインからサラミまで手作りする家族の牛骨スープ、アフリカの平原で中国人がふるまう汁なし麺、難民キャンプで差し出されたコーヒー……。知り合ったばかりでも、言葉が通じなくても、迷いなく手料理でもてなす人々。そこには、ふと力が抜けるようなやさしさと日々の営みへの静かな情熱が込められていた。純粋な心の共鳴が美しい17編のエッセイ。
※本作品は2020年に大和書房から刊行された、『もてなしとごちそう』を加筆修正したものです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
piro
37
単なるグルメ本ではなく、食を通じてその土地土地の文化や情勢、人々の暮らしまで見えて来る良書。旧ソ連圏やアフリカなど、あまり馴染みがない地域の話が多く、その点でも興味深い一冊でした。ここまで現地の人々の中に入って行くことができるのは、もはや才能だと思いますが、現地の人々をリスペクトし、余計な先入観を排して接する中村さんの姿勢が成せる賜物でもあるのでしょう。スロヴェニアのエピソードを読んで、全ての食材の生産者に目が届くくらいの社会のサイズというのは、健全で心地良いのだなぁとしみじみ思いました。2025/12/18
ひろ
2
旅先で出会った人に誘われ食事をいただく。食事を作る、においや感触、音の表現が丁寧で次々と読みたくなる。作者がどういう人か全くわからないなかで読んだ。読み終えて検索したらインパラの朝の作者。ずっと前に 読んでいたけど、もう一度読もうと思ってすぐ注文した。2026/03/30
kuzira
1
旅先で見知らぬ人の家に招かれてご飯を食べる。普通の感覚でいったら危険な行為を旅の直感をもってして軽やかに、どんな食事を美味しくいただいてしまう。本を読むことで旅の感覚を味わえ、食欲を刺激される。すごい読書体験だ。 「ここに記すことができるのは、時間の淘汰を生き延びたごくごく一部の経験である。」 インパラの朝の野生的で貪欲に旅をする感じも好きだったけど、食べ物とその国の文化や人との交流をそのままに受け入れ文章化された本書はもっと好きだと思った。2026/05/01
c3pomotohonzuki
1
フィシーフ、ゴヴェヤユハ、イフタール、世界各地で地元の人と共に食べたごはん。 単なるグルメ紀行ではなく、その地に生きる人たちのありのままの姿と真心。 美味しいだけでない味わい深い文章。 「柔らかくて、爽やかで、それでいて妙に存在感があって」2025/12/01
チョモハル
0
中村安希さんが世界を旅するなかで出会ったすてきな出会いの記録。見知らぬ人との出会いへの構えを考え直すきっかけになった。印象に残った話:ミャンマーの友人モモさんとの九年越しの温かな食卓、スロヴェニアの「手に負えないものを持たない」暮らしの哲学、平壌での対価を介した歓待と徐々に不穏になっていく関係、ラダックの厳しい風土に根ざした生活とその思想化ともいえるチベット仏教の教え。2026/07/12




