内容説明
「健康体」が称揚される社会へのアンチテーゼ
いのちに別状はないけれど、学校生活、就職、結婚、家族、あらゆる場で「ちゃんと」できなかった。慢性疾患/健康体でない=グレーな私たちには、この社会はあまりに居心地が悪い。
難病の弁護士・青木志帆と、診断が確定しない新聞記者・谷田朋美。
慢性疾患によるさまざまな病苦(頭痛・吐き気・めまい・倦怠感…etc)を抱えながら、なんとか「健常者」に擬態して生きてきた。
そんな二人が出会い、交互に言葉を紡いでいくことで「慢性疾患の日常」が描かれていく。
「健康体」が当たり前に称揚される社会への居心地の悪さ。学校生活、就職、結婚、家族、あらゆる場で「人並み」になれないしんどさ。
強さと弱さのはざまで生きる「グレーな私たち」に贈る往復書簡。
【主要目次】
1部 死んでいないので生きていかざるをえない
2部 回復しない人生を生きる
3部 能力主義を病苦と生きる
4部 女性であること/病気であること
5部 往復書簡を終えて
※巻末に村上靖彦さんとのスペシャル鼎談を収載!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
44
今のこの国の一断面をスパッと見せられたように思う。医療・福祉という面だけでなく、社会の在り様にもつながる。データ重視で診断できないと対応してもらえないという言葉が脳裏に残る。先が見える(計画できる)こと、そうでないことの違いが大きすぎるのが、今の状況。視点を変えると、人が暮らすこと自体に関わることで、同じようなことが、いくつもあるように思う。ままならないことを、どう受け入れる、どうつきあっていくのか・・を考える。2025/11/13
チェアー
4
病名がわからなければ、公的扶助がなかなか受けられない。そもそも症状が「気のせい」とか嘘だと判定されてしまう。苦しむ人間がここにいるのに、そのことが見えなくされてしまい、エビデンスが優先される。 エビデンスが重視されるまでは、目の前の患者の申告が優先された。そこに戻れと言うわけではない。だが、現在の医学では解明できていない部分があるのだということは理解しておきたい。 2025/12/19
Apollo
4
会社できりきり働いていると、「効率性」が優先度マックスな命題となる。自分が体調が悪いとき、「思うようにことが進まない」ことに苛立ちと申し訳なさを感じるのは当たり前と思っていた。ここ、ちゃんと立ち止まって考えなきゃと思う。2025/11/10
しゅんぺい(笑)
3
青木さんの「障害」と「病苦」の違いという整理に唸った。どんなときにどんなふうに役立つのかはまだわからんけど、なんとなく、障害っていう言葉の中にもいろんなグラデーションがあるんちゃうかとは思っていて、それの一つの可能性を見せてもらった感じ。病苦には、一緒に付き合うしかない。それがささやかながら最大の支援になったりする。2025/11/08
必殺!パート仕事人
3
通院のために有給休暇を取りたいと言い出せない、のかぁ。自分の職場は恵まれている。先輩たちが作ってくれた道だと思う。この本でも「5程度の配慮を得られたら100の働きをすることができそう」とある。鈴木さんの脳の話と同じ。青木さんは明石市役所に勤めていたのか。市長が子育て支援に舵を切った頃で、明石駅を降りたとたん「子ども産まないの?」の圧を感じていたそう。わかる気がする。2025/10/16
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