黒人と白人の世界史――「人種」はいかにつくられてきたか

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黒人と白人の世界史――「人種」はいかにつくられてきたか

  • ISBN:9784750352305

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内容説明

「ヨーロッパ人は、アフリカ人を奴隷にしたために人種主義者になった」。
本書は大西洋奴隷貿易、奴隷制、植民地主義とともに、「人種」がどのように生み出され、正当化されていったのかを歴史的に解明する。

◎ル・モンド紙が「まるで小説のように読める」と評す、人種の歴史の新たな基本書。

目次

序文
イントロダクション――ニグロと白人、言葉の歴史
第Ⅰ部 奴隷制と帝国
第1章 奴隷という制度
制度としての奴隷
奴隷制の社会的意味
第2章 サハラ砂漠以南のアフリカにおける奴隷制
古代以来のナイル川北部とサハラ砂漠の商業上の地位
アラブ世界の拡大と奴隷売買ルートの発展
西アフリカにおける奴隷交易国の形成
奴隷制の歴史的重み
第3章 ヨーロッパのダイナミズム
ヨーロッパ建設における一つのパラドックス
一五世紀の南大西洋におけるポルトガル人とカスティーリャ人
〇大西洋の植民地化のメカニズム
〇交易の支配
大西洋の農園
第4章 アメリカの発見
アメリカにおける事業
インディアンの奴隷化
“ニグロ”貿易
結論 奇妙な帝国
第Ⅱ部 ニグロの時代
第5章 ニグロのプランテーション(一六二〇~一七一〇年)
プランテーション――ブラジルからカリブ海の島々まで
ブラジルからカリブ海の島々に向かったオランダ人
黒人奴隷貿易国
一八世紀への変わり目における植民地拡大
第6章 不可能な社会(一七一〇~一七五〇年)
捕獲という奴隷生産
拉致からプランテーションまでの「長い旅」
プランテーションと良い農園主
不安定な秩序
ニグロという虚構
第7章 危機に向かって(一七五〇~一七九四年)
経済発展の危機――入植と奴隷貿易の対立
フランスにおけるパラダイムの変化
奴隷制と奴隷貿易への異議
人種隔離主義、“血の純潔”および植民地の階級化
パリとサン=ドマングの間の革命危機
結論 ニグロと暴力
第Ⅲ部 白人の支配
第8章 ドミ・ネーション(一七九〇~一八三〇年)
徴用された国家(一七九四~一八一五年)
〇アメリカ合衆国の奴隷制維持とフランスの奴隷制復活
〇解放奴隷をどうするか
植民地の転換とイデオロギーの急変(一八一五~一八三〇年)
〇奴隷制擁護派、リベラル派、一八二〇年の危機
〇奴隷制廃止主義と新たな支配/所有者の国家
第9章 奴隷制から人種へ(一八三〇~一八五〇年)
奴隷制からの脱却(一八三〇~一八四〇年)
人種の科学(一八四〇~一八五〇年)
「ニグロの虚構」から白人の虚構へ
第10章 新たな支配(一八五〇~一八八五年)
奴隷制なき植民地労働の再編(一八五〇~一八七五年)
〇アメリカにおける社会関係の転換の難しさ
〇アフリカにおける新たな生産計画/白人の科学
ベルリン会議(一八八五年)
第11章 人種の統治(一八八五~一九一五年)
ネオプランテーション(一八八五~一九一〇年)
人種政策
白人優位の物語を強化する
国家の退廃と純粋さの間にある国家身体
第12章 妄想、悪魔、民主主義(一九二〇~一九五〇年)
第一次世界大戦後の人口調整
〇都市――人種と近代化
〇植民地
一九三〇年代――人種主義者という群衆
〇一九三〇年代に入る時期の二つの人種危機
〇否認と熱狂の間で
結論 人種の策略
「ニグロの虚構」
「白人の虚構」
人種を終わらせるために
謝辞
解説 中村隆之
原注
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

68
原題は『ニグロと白人の歴史』。実はこの「差別語」を敢えてタイトルにしているところに著者の真の狙いがある。つまり差別に「蓋をする」のではなく、現在も脈々と残っている政治・社会的な人種概念とそこから生じる差別に向き合おうとしているのだ。キーワードは「親族性」。西洋資本主義の発展の元となったアメリカ大陸との関わりからアフリカから奴隷を導入することになったが、この奴隷は支配者である白人とは決して「親族」になれない存在であった。これはアメリカ独立、フランス革命という「民主主義革命」の中でも貫徹されていた。2025/02/03

たまきら

44
フランス語で書かれた人種問題の話とはどんな感じなのだろう?と手に取ってみた。正直読みにくさに苦労したが、ヨーロッパの奴隷の歴史はわかりやすかった。差別は区別の始まりだ、という人がいた。愛する人がいる、家族を優先する。それが差別の始まりなのだと。その言葉を思い出しながら読み進めた。ただ、アフリカとヨーロッパの話をもっと読みたかったかなあ…。2021/12/29

Mealla0v0

5
「人種」は科学的には無効な観念ではあるが、政治的・社会的現実としては今なお強固に存在する。結論から言えば、人種とは、奴隷制が廃止された後にその代替物として生み出された擬制である。ここでの奴隷制は太平洋資本主義に組み込まれており、重要なのは奴隷制の経済的性質である。それは奴隷制は奴隷として人間を奪われた社会を犠牲にして余剰生産を得る。プランテーションは、奴隷制資本主義によって運営され、莫大な利益を産出した。奴隷制は叛乱や内乱を通じて廃止されていくが、そこで廃止されたのは制度であり、経済原理ではなかった。2024/12/17

yes5&3

3
著者の仏の大学でのブラック・アメリカの講義がきっかけと解説にある。なるほど教科書的な整理。原題「ニグロと白人の世界」。古代から存在した人質の奴隷と異なり、奴隷市場が再生産のない奴隷制度を構築。十字軍から派生したキリスト教の領土獲得のための暴力是認。植民地の秩序のために白人(男性)という「人種」が作られた、人種⇒奴隷制度と反対の流れである。長年の文化背景で「自然」として受け入れている夫婦の役割、親子の従属性等はつまり白人の男性の自然であり秩序P323。欧米文学を読むときこの本の知識を背景に持って読もうと思う2022/01/03

Go Extreme

2
奴隷化の結果として人種主義者に 逆説的な人種主義の誕生 人間性が利用価値の源泉 奴隷の脱文明化 奴隷制プランテーション経済 アフリカ人奴隷の経済的論理 暴力と市場が支える生産方式 労働力対象化としての黒人概念 白人の虚構 男性支配の親族論理 空間支配を司る人種概念 プロパガンダとしての黒人虚構 アイデンティティの拠り所 暴力を飲み込む穴 ニグロ化 人工的な自然の虚構 汎親族概念の拡張 線引きの差別克服への提案 労働力対象化の虚構 白人男性を正当化する支配論理 2025/05/08

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