ちくま新書<br> 新左翼と天皇 ――炎と爆弾の時代

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ちくま新書
新左翼と天皇 ――炎と爆弾の時代

  • 著者名:井上亮【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2025/10発売)
  • 2026年も読書三昧!Kinoppy電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~1/12)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480077059

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内容説明

六〇年安保闘争、六〇年代末の全共闘運動、七〇年安保、七〇年代から八〇年代の成田空港反対の三里塚闘争では、反天皇制が主要なテーマになることはなかった。ところが昭和から平成の天皇代替わりに、新左翼の各セクトは封印を解き、反天皇制を最大のテーマに掲げて、炎と爆弾によるゲリラ闘争を展開した。内ゲバと市民を巻き込むテロに突き進んだ彼らの無謀な作戦、それに対する警備・公安警察。本書は暴力闘争の徒花を、現代史の一側面としてまとめる試みである。

目次

はじめに 「昭和から平成」のゲリラ闘争/第一章 全学連と全共闘の叛乱/天皇への質問状/暴力革命路線/日本共産党との決別/全学連の学生約七千人が国会構内に突入/革マル派と中核派/拡大、過激化していく闘争/日大の爆発/東大・安田講堂の陥落/「現代的不幸」による自分探し/第二章 暴力の嵐/全共闘ブームの終り/内ゲバ戦争の激化/非公然武装組織/中核派「革命軍」の四部門と六原則/内ゲバ三派/爆弾闘争への展開/反皇室闘争の始まり/「沖縄」でめざめた差別と戦争/アウトボクシング闘争/第三章 〈狼〉の自己否定と反日/マイノリティ差別への気づき/被害者であり加害者/東アジア反日武装戦線の唯武闘主義/〈狼〉という名の由来/爆弾闘争の聖典『腹腹時計』/捨て身の天皇暗殺計画/「虹作戦」の挫折から三菱重工爆破へ/企業爆破テロの連鎖/左翼を否定する左翼/第四章 三里塚からの出撃/「天皇の牧場」に新空港/三派全学連と共闘/成田に焦点を合わせる各セクト/炎と流血の要塞戦/エスカレートする放火ゲリラ/高性能化する爆発物/「天皇式典・東京サミット」への攻撃/ルビコンを渡った飛翔弾ゲリラと個人テロ/第五章 攻防──九〇年決戦前半期/儀式粉砕の武闘理論/大喪の礼粉砕闘争の“不発”/九〇年天皇・三里塚決戦/頻発した放火ゲリラ/三里塚の集会取材/なりふりかまわない“予防検束”/「無制限・無制約」の個人ゲリラ/若気の至り/三里塚のアジ演説/公安警察のスパイ工作/本番に向け不気味な“手控え”/第六章 怒濤──九〇年決戦後半期/空前のロングラン警備/新左翼と公安の仁義なき戦い/武闘派が実権を握った革労協狭間派/「三里塚闘争会館」撤去と警備強化/中核派「武蔵野アジト」の摘発/飛距離一・五倍の新型迫撃弾/スクープと公安警察/即位儀式直前の事件/警視庁の寮にトリック爆弾/史上最多の同時多発ゲリラ/大嘗祭後の戦慄/闘争への大衆的共感は皆無/第七章 退潮/疲弊した新左翼各派/武装闘争路線の修正/中核派の重大な誤爆事件/永田洋子の「敗北総括」/中核派「革命軍」のもう一部門/先細る新左翼の活動/「現代的不幸」に答えを出せなかった新左翼/暴力闘争に説得力はない/あとがき/巻末資料新左翼関係事件年表(1991年まで)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

130
連合赤軍事件以来の新左翼の歴史を辿ると、理想主義者であるのは悪なのか自問してしまう。理想を信じるあまり純粋無垢な自分だけが正しいとの視野狭窄に陥り、暴力と恐怖で実現しようと暴走するのだ。陰惨な内ゲバ事件や成田闘争の爆弾ゲリラを経て、天皇や皇族暗殺を謀るに至る生々しい人の業の連続にめまいがする。日本のため大衆のために闘っていると自負しながら、いつの間にか殺人が当たり前の世界でしか生きられなくなるのだから。旧統一教会やオウムなどカルト宗教も根は同じで、人の心の弱さ愚かさが存在する限り永遠に繰り返されるだろう。2025/11/21

skunk_c

67
著者は自分よりやや若い新聞記者で、駆け出しの頃に丁度昭和天皇逝去、平成天皇即位などの儀式があり、それに対して新左翼「過激派」が行ったテロを取材した経験談が後半の中心。仕事や家庭(長女出産の頃)が忙しく、あまり大々的な報道もなかったので記憶に薄い内容だったので、興味深く読んだ。前半は新左翼の略史というべき内容で、横浜国大や神奈川大の内ゲバは自宅から近くの事件でよく覚えているし、自分の大学時代は結構周りに各セクトに所属していた人物がおり(なぜか全くオルグはされなかった)、交流していたので既知のことも多かった。2025/12/21

HANA

51
60~90年代までの新左翼の通史。なのであるが他の類書と違うのは新左翼が如何に天皇を標的にしていったかという部分。基本新左翼を描いたものとしては内ゲバとか政府との対峙といった物が中心だったので、この切り口は新鮮。とはいえその部分に触れているのは大体80年代だけなので、ちょっと食い足りないかな。平成に年号が変わった当時は自分はまだ幼かったため、あの空気の裏でそんな事が起きていたとは初めて教えられた。著者が新聞記者出身で当時実際に取材にあたっていたため、臨場感と時代の空気がひしひしと身に染みる一冊でもある。2025/11/25

お抹茶

5
新左翼の反天皇制ゲリラの説明よりも,その導火線となる学生運動,全共闘運動,三里塚闘争の警察との攻防,凄惨な内ゲバの説明が約7割と多い。共産党が幅広い支持を得るために大衆迎合的な運動に転換したことに不満を持った学生運動家が,米軍基地反対闘争などを経て新左翼を作った。三里塚闘争で繰り返された時限式爆弾や放火が後の反天皇制闘争に転用された。1990年の代替わり儀式に伴うゲリラは中核派の総力戦だったが,財政上のダメージにもなり,退潮に向かった。また,個人テロを多発したことも,大衆の信を失い,組織を弱体化させた。2025/12/14

読書家さん#U7eSLx

3
過激化した学生運動に関わった若者たち、カルト集団(オウム)に入信した若者たち、いずれもその行動は理解できないが、狂信的であるということ以外にも何かしらの共通点があるのではないかと思ってきた。この本を読むと、共通するのは「地に足がついていない」ということ、ひいては、歴史をきちんと学んでいないということではないかと感じた。磯田道史先生の「歴史は靴である」という言葉を思い出した。2025/11/12

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