内容説明
恋人が綴った、西村賢太(けんけん)との3547日
「自分の人生に責任、持てよ」
この言葉がなかったら、ここまで書けなかった。
私のせいで西村賢太(けんけん)が殺された、との認識が、突然背後から鈍器で殴りかかってきた――瞬間、左のみぞおちが反り返るようにグググと引き攣って、洗面台に駆け寄って嘔吐(えず)いていた――『西村賢太殺人事件』の爆誕である。
これは、私が私のために書きました。
西村賢太のために、
などとは歯が浮くようでちょっと言えないし、
私が書かねば彼が忘れられてしまうから、
などという考え自体、まるでない。
書いていると、
不在感が増幅されて泣くこともあった半面、
思いがけず記憶の彼方から蘇ってくる彼に
出くわして喜ぶこともあった。
「自分の人生に責任、持てよ」
この言葉がなかったら、ここまで書けなかった。
【目次】
第一章 火吹達磨としぶり腹
第二章 岡山ルーチン
第三章 遥道
第四章 DJけんけん
第五章 一国一城の主
第六章 暴力の沙汰
第七章 ケダモノの舌
第八章 愛情乞食
第九章 清造大権現
第十章 西村賢太殺人事件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
道楽モン
60
版元が版元だけに、ただの回顧録で終わらず。表題作の第10章で目眩を引き起こす。本書の読者は西村賢太を読み込んだヘヴィな御仁が多い筈だ。第9章まではそんな賢太マニア達が、さもありなんと興奮しながら下世話な覗き見趣味を満足させる内容。やっぱ本物のDVじゃん(笑)。さすが賢太という実生活でのクズっぷりと同時に、いじましいまでに小さな幸福を慈しむ生活。アンビバレントな生活から生み出された西村作品の創作過程の裏側をも書かれている。しかし筆者にとってそれらはすべて第10章に向けての前奏曲。読者とのすれ違いが悲劇的だ。2025/12/14
おかむら
31
2022年に急逝した西村賢太の元恋人が、2012年から6年続いた岡山での半同棲生活の思い出を綴った本。そんな人がいたのかぁ、と私小説や大食い日記には出てこない一面が垣間見れるかと読んでみたら…。ひぃぃ! これは稀に見る奇書だー! 9章まででやめとけばまあ普通の回顧本だったのに、最後の10章の破壊力が凄まじい。そして著者が本当に伝えたかったのはこの最終章だそうなので、この本が賢太の本出してる他の大手からでなく飛鳥新社(キワモノ好き)から出たのもさもありなん。久々のとんでもない読書!珍本大賞決定。 、2025/12/14
メタボン
23
☆☆☆☆ 西村賢太ファンなら面白く読める本。貫太さながら、西村が私生活でも、こきほき、あきたりなく、ふとこっているから。西村が潔癖症すぎて踵がガサガサで、歩くと室内犬のような音がしたというのもリアル。それにしても最終章の不法侵入事件、現実にしても、作者の被害妄想にしても、どちらに転んでも、怖すぎる。真相はいったい何なのだろう。作者は本当に狂気に陥ってしまっているのではないか?2026/01/25
スナフキン
12
西村賢太さんの元カノさんによる手記。西村賢太さんの素顔を垣間見れて、嬉しかった。また西村賢太さんの作品を読みたくなった。最終章が多分著者の1番言いたいことだと思うが、ファンから見れば要らなかったと思う。2026/01/11
ふじこ
8
「自分の人生に責任、持てよ」故・西村賢太の元恋人である著者が書いた芥川賞作家との日々。不器用で、潔癖で、破滅型の私小説を書き続けた西村賢太という人に初めてちゃんと会えたような気がした。恰幅がよく、タバコを吸い、同じ作風の文章を延々と書き続ける無頼派というイメージだったが、実際はもっとお茶目で気の小さい人だったんだなあと感じた。恋人同士の微笑ましい話から一転、本書は10章で急に奇書へと変貌する。これまでにない、唯一無二の読書体験だった。2026/02/10




