内容説明
国民皆兵を兵役理念とした近代日本。徴兵制が主体の陸軍に対し、志願兵制度を重視した海軍は、兵士の安定的確保のためにいかなる対策を講じたのか。兵事資料や体験者の証言を手がかりに、志願兵が急増して大量動員を可能にした真相に迫り、地域の視点とポスターなどの宣伝活動をふまえて制度の実態を解明する。戦後の自衛隊員募集の課題にも言及。
目次
なぜ志願兵を取り上げるのか―プロローグ
恩給目当ての志願兵
日露戦争以前の志願兵
日露戦争後の志願兵
就職先としての海軍 軍縮・恐慌
志願者数の減少
海軍志願兵令と恐慌下の志願兵
戦時下の志願兵制度と宣伝活動
海軍の増徴と陸海軍関係
宣伝活動の強化
戦時下の志願兵と地域
志願兵の「供出」
戦時下の志願兵と戦後
日本海軍の志願兵―エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
9
戦前は陸軍が徴兵で海軍は志願だと思っていたが、そんな単純な話ではなかった。海軍の兵員不足は慢性的で、家族扶助料や恩給目当てで志願したり不良少年が厄介払いで押し付けられた例も多かった。優秀な志願者を募るため必死に宣伝活動し、不景気時には技術を学べる仕事として人気だった実態は現代の就職事情にも通じる。特撮で有名な映画「ハワイ・マレー沖海戦」が志願兵集めの一環だったとは初耳だが、それでも足りず最後には地域に圧力をかけて半強制的に徴募するに至った。定員割れが当たり前の自衛隊は、海軍と同じ悩みに苦労しているようだ。2026/01/25
とりもり
2
徴兵のイメージしかなかった旧日本軍だが、こんな志願兵もいたのね。とは言え、最初のうちは軍の人気がなくて集めるのに苦労したり、技術が習得できることや年金を餌に集めたりと、そのイメージはかなり異なる。それが徐々に志願と言いながら強制的になっていき、集める側も戦死者を出して贖罪意識に苛まれるなど、開戦によって誰も幸せにしない不幸な坂道を転がり落ちていく。美談にされることが多いが、学力試験に適当な回答を書く生徒が多かったあたり、本音では抵抗する若者が多かったのだなと感じた。★★★☆☆2026/01/11
あらい/にったのひと
2
一ノ瀬俊也の本と似たところを見てるな~と思ったら参考文献で出てきていた。明治期~終戦後までの海軍における志願兵に関する制度の本。何人かの採用する側/される側個人の視点や結果が含まれているのもよいですね。この時期の志願兵ですら集めるのには苦労しているので、よっぽど待遇良くするか景気悪くなるか、実際に戦闘行為が起きるまではなかなか…という気もしますが、いずれのシチュエーションも好ましくはなく、やはり平和が一番ですのー、という感じ。あと、「今年度のもの魅力なし」(P113)には笑った。2025/11/02




