内容説明
児童虐待を含む子ども家庭を取り巻くさまざまな課題に、どのように対応していけばいいのか。民生委員・児童委員をはじめ、市区町村相談担当職員、要保護児童対策地域協議会委員、地域住民ほかに向けた、子ども家庭支援の書き下ろし。
目次
はじめに
第1章 民生委員・児童委員と要保護児童対策地域協議会
(1)民生委員・児童委員とは
全国に23万人/委員の気概と、なり手不足
(2)私が委員になったとしたらこう思う
自分が住んでいる地域での活動/ボランティア精神と公務/委員の実際を知っているのは委員だけ
(3)委員の心構えを問われて
ふつうに誠実に/頼る力量/これまで歩んでこなかった道
(4)要保護児童地域対策協議会(要対協)
協議会の概要/協議・運営上の課題
第2章 子ども家庭についてのお薦めの考え方
(1)今のお父さんお母さんたちはたいへん
世の中から思わされていること/昔の親はしっかりしていた……か?/“おすそわけ”や引っ越し、お葬式の変貌/「ふつう」は時代や状況によって変化する/豊かな昔に戻れるのか
(2)子育てしながら気になるフレーズ
自立とは人の力を借りないことじゃない/親の「いい顔」/少年非行や犯罪は増加し凶悪化しているか?/「心の闇」を作ってる?「心理的虐待」してる?/どこでどんなよいことが育っているかわからない/“不調和”や“対立”をそんなに怖がらなくても……/虐待防止が子育て不安を高めているか
(3)いろんな人がいて世の中
未熟な私の心の声
(4)子どもの問題行動の原因
原因は何だ/原因論に頼らないとすると……
第3章 会話や行動で相手に対応する
(1)聞くこと・話すこと・動くこと
これは控えたほうがいい/「こうしてはいけない」よりも「こうしていこう」
(2)対応についてさらに付け加える
自分の喋り方や顔つきなど/座り方やクセ、うなずきやあいづち/相手の「よいところ」やものごとの「よい側面」/ロールプレイ(役割演技)という方法/研修会での質問のいくつか
第4章 子ども家庭への接近
(1)子どもと家族を理解する
子どもと家族に関する委員の役割/事例は家族のことを含めて総合的に検討しよう/障害や診断名は問題行動の原因まで示していない/愛着障害に関連して/家族の問題のあるなしとジェノグラム(家系図)/家族への思いやり/悪者を作らない円環論という考え方/アセスメントとはよい(強い)ところも見ること/検討する私たちも生身の人間/このような検討の意義
(2)子ども家庭へのかかわりを考えるために
子どもの症状や問題行動の仕組み/家族を見るときの視点
(3)作り出したいよい関係
委員としての支援とよき隣人と/プラスの意味づけ
第5章 子ども虐待について
(1)子ども虐待に関する基礎知識
法律や制度の概要/なぜ保護者は虐待するのか/子どもはどんな影響を受けるのか
(2)通告周辺のことについて
ただの傷か、それとも虐待か/1人で判断しない、動かない/通告は法的義務/通告とその後/介入的対応と援助的対応/工夫例/虐待の構造(仕組み)
(3)虐待防止と家族支援
虐待事例へのかかわり/相談・協力・連絡/通告を受けた機関の業務/対象となる家族への接近/保護者への援助的な理解と面接/5つの事例から
(4)子ども虐待に関して考えたいこと
虐待防止を前面に出した取り組み/家族支援を前面に出した取り組み/虐待か否か/綱渡りの綱から落ちないように/バランスのくずれ/次には家族支援を軸に練り直しを/施設や里親宅での虐待
第6章 伝えたいそのほかのいくつかのこと
(1)対策が他の不都合を生じさせていること
ボール投げはどこでできるの?/「いじめ」と「非いじめ」の区別/クレームとその予防
(2)発達障害などをめぐって
適応第一だろうか/より丁寧なコミュニケーション/個別化と多様性/「個別化」で気になること/「合理的配慮」についての懸念
(3)「治す」よりも「育てる(生きる力をつける)」
不登校というつまずき/応援するとは/「生きる力」をつける/進路をテーマにする場合/よかったと後から思える今を作る
(4)非行や犯罪少年の心理特性などを問われて
親たちの戸惑い/少年への指導の落とし穴/みんなストーリーを作っている/決めつけない/少年の心は動いている
(5)相談されて考えたこと
思春期とは……/一度だけの万引き/優しい子どもたち/反抗期の子どもとどうつきあうか/2つの遊び方/不当なクレームへの対応/スマートフォン/平気で隠す/やりたいことなんかない/自主性
(6)情報提供
里親になりたい人のために/里親の種類
参考になる本の紹介
おわりに