新海誠論

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新海誠論

  • 著者名:藤田直哉【著】
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 作品社(2025/10発売)
  • ポイント 20pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784861829345

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内容説明

映像作品、関連書籍、本人インタビューなど網羅、『すずめの戸締まり』への軌跡を完全解明!
「危機の時代を健やかに生きる」覚悟とは?

気候変動/SDGs、伝統/未来、信仰/科学、地方/都市……
“新海誠”を読解することは、現代日本を問うことであり、我々の未来を救う鍵がある。 
分断「/」のネット時代に現れたゲーム的な作家は、如何に成熟し、世界との関係をつなぎ直すのか? 
新海誠を超えた、思想としての「新海誠」。

『新海誠論』、ぼくは1983年生まれですが、近い世代、ロスジェネ世代の「ありえた未来」へのレクイエムであり、「昔はよかった」「戻りたい」と嘆かず現状の現実を肯定し、次世代とともに「危機の時代を健やかに生きる」覚悟を決めるための本だと思います。
本書は既存の新海誠論と比較して「強い」と思います。その意味は、1:『ほしのこえ』から『すずめの戸締まり』まで、一貫した論になっている。2:新海発言を総ざらいしエビデンスを固めてある。3:既存の新海誠論・新海誠観を覆すような解釈がある。という辺りです。全体は200頁そこらの、割とコンパクトで読みやすい本になっているかと思います。ぜひとも若い世代の方に読んでほしいですね。(著者Twitterより)

【目次】
はじめに――失われた「つながり」を求めて

序――ニューメディア時代の文化英雄
新海誠の経歴――ニューメディア出身の映像作家/戦後日本アニメーション史における位置づけ/失われた「つながり」を求めて/ニューメディアと伝統文化の「習合」/新海誠の日本論/セカイ、古典、そして世界へ――フィルモグラフィ

第一部 セカイ期
1 『ほしのこえ』――セカイのはじまり
2 『雲のむこう、約束の場所』――「セカイ」の外へ
3 『秒速5センチメートル』――失われた「未来」との別れ
第二部 古典(コテン)期
4 『星を追う子ども』――喪失から成熟へ
5 『言の葉の庭』――「足場のない」不安定な時代の肯定
6 『君の名は。』――「美」というパルマコン
第三部 世界期
8 『天気の子』――危機の時代を健やかに生きるために
終章 『すずめの戸締まり』――世界をつなぐ糸たらんことを
おわりに
主要参考文献・引用文献/註

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

115
新海誠に関する批評が相次いでいるが、本書は他にない視点と補助線を提示する。『君の名は。』の口噛酒、『天気の子』の巫女、『すずめの戸締まり』の祝詞など日本の神事が絡むファクターを、彗星や異常気象や大地震など多くの犠牲者を出す天災と戦う武器に採用する点を「ニュータイプの日本浪漫派」と位置付ける。これにより「みんなを苦しませたくない」と頑張る主人公と災厄をアニミズム的に交錯させ、世界を美しく再構築する物語を導く。戦争や災害が相次ぐ現代において、心身とも傷ついた人びとの「つなぎなおし」が作品のカギと見ているのだ。2023/01/07

逆丸カツハ

27
久々にこの手の批評の本を読んだ。懐かしい気分。もう文芸作品などを批評的な読み方、見方で読み解きたいという積極的な欲求がほとんどなく(思いついたら記事にはしているが)、単に楽しんでいるだけになっているので、新鮮な気分だった。この手の批評を忌避する気持ちも分からなくはないが、やっぱりこういうのはこういうので面白いなぁ。2025/07/04

きあら

22
「ほしのこえ」から「すずめの戸締まり」までの新海作品から、新海誠という人物を論じる本。論じている幅が広がりすぎて、あまり頭に入ってこない。そして主にその作品が作られた背景や思考が書かれているので、観ていない作品については話について行けない。2023/01/14

由弥

6
宮崎駿は高度経済成長や資本主義への傾倒に批判的だが、新海誠はその考えを引き継いだ上でさらに先の時代の産物であるインターネットによって却って孤独感や喪失感を感じる若者のプライベート空間にも言及する作品作りをしている。「ほしのこえ」から始まる当時の流行りを取り入れた作品群をセカイ期、古事記を引用した「言の葉の庭」や万葉集を引用した「君の名は。」のように日本の土着文化を背景とする作品群を古典期、そして「天気の子」のようにセカイに閉じるのではなく世界と繋がって問題を解決する境地を世界期と分類した整理術はお見事。2025/01/17

のっち

4
美しい絵とストーリーが好きで主な作品は観てきたけど、細部に込められた思いとか、作品を越えた関連とか、そこまで深い理解はしていなかったな、と思った。日本古来からあるアニミズム的な感覚とデジタルに慣れ親しんだ現代的な感覚を上手く取り入れて表現を進化させてきた過程が解説されていて、なるほど、と思わされた。読み終わったすぐ後で、良かったポイントを上手く言語化できないのが悔しい。批判も次の作品へのヒントとしながら、観客にあぁ面白かっただけで終わらせないストーリーづくりや表現ができるってすごいなと改めて感じた。2023/01/15

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