内容説明
血縁という地獄をサバイブしてきた。母は狂女になるしかなかったから、私もまた狂女に育った――。日本と韓国を行き来し、自由を追求する唯一無二のアーティストによる、渾身のエッセイ集。
死にたい時許せない時救われたい時、
愛する人に会えなくなった時、
私は死ぬまで何度もこの本を開くだろう。
――金原ひとみ
お母さんは狂ってて、お父さんはサイテーで、
おばあちゃんは二人とも精神を病み、親戚はみんな詐欺師。
そんな家族のもと、幼い頃から泣くことも笑うこともできず、
いつも世界でひとりぼっちだった私が始めたのは、
感情に名前をつけること――。
1986年生まれ、日本と韓国を股にかけて活躍するミュージシャン・作家・エッセイスト・イラストレーター・映像作家のイ・ランによる、「これまでの家族」と「これからの家族」。
日韓同時発売。
◎目次
体が記憶している場面たち
母と娘たちの狂女の歴史
本でぶたれて育ち、本を書く
お姉ちゃんを探して――イ・スル(1983.11.03 ~2021.12.10)
三つの死と三つの愛
ダイヤモンドになってしまったお姉ちゃん
お姉ちゃんの長女病
ランは早死にしそう
私の愛と死の日記
すべての人生がドラァグだ
お姉ちゃんの車です
死を愛するのをやめようか
今は今の愚かさで
あなたと私の一日
この体で生きていることがすべて
1から不思議を生きてみる
イ・ランからジュンイチへ
ジュンイチからイ・ランへ
確かな愛をありがとう
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
71
【本でぶたれて育ち、本を書く】「母と娘たちの狂女の歴史」など、家族への思いをメーンに綴られたエッセイ集。共鳴した言の葉多し。カバー・裏ともに、著者と一緒に生きてきた黒猫・ジュンイチ。愛猫の死を悼んだ本とも……。日韓同時発刊。「著者からの言葉」や訳者解説等は一切なく、本文のみ。<お母さんを狂女になるように追い込んだ残酷なしがらみの中で、私もまた狂女に育った。それでも私は、自分の物語を世の中に示すことのできる狂女でよかった。だけど私だけでなく、お母さんの狂女の歴史もとても重要だから、広く世に知らせたい>と。⇒2026/01/03
たまきら
33
こんなに嘘のない言葉で、彼女は大丈夫なんだろうか。すぐに守りに走ってしまう自分を恥じる。守りも何もない、さらされっぱなしの彼女の心に翻弄される。声を出して呼びかけ話すことの難しさを、知る。…ネコのジュンイチを愛する著者の姿は、ロクを溺愛するワタシに来る日への覚悟を促す。気づいたら涙が出ていたり。キケン。キケンな言葉ですー正面衝突してくるまっすぐさよ。2026/04/23
M H
27
父はろくでなし、母は狂女の家に生まれた著者。ここには書ききれないほどひどい境遇に絶句する。まぎれもないサバイバーである著者が経験する大切な存在を想うこととその喪失。痛みを突き詰めて極端な行動に出ないと愛を自分の内に感じられないのか、生を体感できないのかと邪推したが最後まで読めばそうではないのだとわかる。でも、書くこと、表現することは生なのか。業が深い。2025/11/10
ズー
19
久々のランさん。短編もエッセイも大好きだけど、なんかどんどん暗い感じになってきていて心配。お姉さんが亡くなったの知ってから、なおさら心配していたのだが、今回のエッセイにそのことも書かれていて、本当に辛いよなぁ…オマケにジュンイチまで…。しかも幼少の頃からこんなひどい目にあっていたとは。それでもやはりどんな状況であっても、ランさんの観察眼と文章は魅力的。私も似たようなことがあったりして、そうそう!私もそう!と思わされたり。ランさんは名前のないものに名前をつける。言葉にする名手だと思う。2026/03/27
きみどり
15
『ヰタ・セクスアリス』的独白から始まるため一瞬面食らうも、次章の「母と娘たちの狂女の歴史」で一気に引き込まれる。「お母さんは私を、自分の感情を捨てるゴミ箱のように扱う」うちの母も漏れなく。あれは不治の病だ。イ・ランに言わせれば狂女か。「お姉ちゃんは、私が家族だから愛しているのではなく、サバイバーの同志として愛しているんだそうだ」私も、厄介な家族のある人には妙な連帯感を持ってしまうよ...。血縁という地獄。闘病。姉や友人、愛猫とのお別れ。音楽も映像も作る人だから、こんな文章が書けるのかな。2025/10/22




