- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
本書は、日本野球の「常識」を問い直し、観戦の視点を根底から刷新する一冊である。著者は名手・宮本慎也。プロでの実績と代表経験に裏打ちされた洞察力に、最新のデータ分析を加え、日本野球の構造を多角的に検証する。本書のテーマは、「戦術としての野球」の再定義にある。送りバントは本当に手堅い戦術なのか。2番打者はつなぐ役目か、それとも最強打者が入るべきか。得点を奪うことと失点を防ぐこと、果たしてどちらが勝利に直結するのか。これらの問いに対し、宮本氏は従来の思考停止的な前提を切り崩し、勝利に資する合理的な戦術眼を提示する。さらに、メジャー流の守備と日本式守備の比較、日本に根強く残る「打率信仰」への疑問、そして高校野球における用具・ルールの課題にも踏み込むなど、視野は広範に及ぶ。著者は、PL学園から同志社大学、社会人野球を経てプロ入りし、通算2133安打、408犠打を記録。10度のゴールデングラブ賞、WBC優勝、北京五輪主将と輝かしい実績を持つ。現役引退後はNHKの野球解説者、評論家として活動するとともに、学生の指導にも積極的に携わっている。技術論にとどまらず、戦術と構造を見通す本書は、ファンのみならず、選手、指導者にとっても必読の内容である。「観戦力は戦術眼で磨かれる」――。データとプロの経験が導く「勝負の読み方」は、野球という競技の理解を一段と深めてくれるだろう。新たな観戦の地平を切り拓く、新時代の野球論の決定版である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ta_chanko
18
バントなどの小技を駆使して僅差で勝つスモールベースボールよりも、圧倒的な打力で大差で勝つチームが強い。打率よりもOPS=長打率と出塁率。最強打者は4番よりも、1番か2番に置いて多くの打席を与えるのが合理的。「上から叩け」も誤り。投球の軌道に合わせてやや下から上方向に振る=インパクトゾーンを長くとる。逆シングルやスライディングキャッチは見栄えが良くエラーもつきにくいが、それに頼っていると守備範囲が狭くなる。かといって突っ込んでボールと衝突するのも上手くない。数値化しにくい守備の評価は難しい。2025/10/10
とも
15
元ヤクルトの名ショート宮本慎也氏が、野球の「新」常識について語った本。フライボール革命、セイバーメトリクスなどなど。この方も野村監督のデータ野球の申し子なんだよなあ。2025/09/23
マッちゃま
12
現役時代から厳しい人のイメージがある宮本氏。YouTubeなどで観てても思います。厳しいとは怖いではなく求める高みが更に高いって感じ。そんな方が語る「こう見たらプロ野球の見方が変わる」てな内容。時代と共に選手の気質、用具、テクニック、戦術が変わっていきます。昔の常識は今の非常識なんてのもありますよね。僕は観る専な運動音痴なので、あ~でもない こ~でもないと野球について語るのが好きだからメチャ参考になります。細かい野球も好きだけど、やっぱ野球の華はホームラン。これ読んで若き強打者の登場を待ちたいと思います。2025/10/03
Katsuto Yoshinaga
10
「接戦(一点差ゲーム)に強いというアドバンテージは優勝の行方に対して関連が薄い」と、のっけから宮本慎也流データ論が展開される。送りバントを絡めた得点効率は多く語られているので、著者なりのデータ分析と視点により、守備重視か攻撃重視かといったチーム編成の戦略から、OPSを重視した攻撃論、バッティング技術の方向性といったことについて、独自のプロ野球論が語られている。そのプロ野球論は、彼のプレースタイルと全く異質なものとなっており、かなり面白い。ぜひ”指揮官・宮本慎也”となって具現化した持論を見せてほしい。2025/09/09
Jun Masuno
4
宮本さんの作品を読む 今の評価指標を用いながら、プロ野球観戦の楽しみ方を教えてくれる 自分がいかに古い価値観で観戦していたか、よく分かります また今の時代で野球が出来ていたら、もっと楽しめ、長くやれた気がします 野球好きはおすすめで、ぜひどこかで監督しないかな2025/11/16
-
- 電子書籍
- 「つい感情的になってしまう」あなたへ
-
- 和書
- 世界の土壌




