内容説明
大学時代から8年半付き合った婚約者を突然のバス事故で亡くして以来眠れなくなった依里は、デパートの寝具売り場で働くことに。そこには眠りについての悩みを抱える人々が訪れる。夫に言われるままあわない寝具を使う老婦人。愛着ある毛布を手放したことで寝付けなくなった会社員。家族を優先し自分は後回しの母親。そんな折、婚約者と共に亡くなった女性の夫が店を訪れて――元寝具店店員の著者が贈る眠れない夜に寄り添う物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
142
弱そうに見えて実は強く生きていくタイプ?いや、自分の人生だものね、誰かに阿ったり、自分を殺したりして生きて行くのは違う。まぁ、初めから強い人はそういないだろうけれど・・本作はデパートの寝具売り場で働く依里のお仕事小説でもあり、その婚約者が年上の女性と温泉宿泊の帰り事故で亡くなるという衝撃。多くの何故?が絡む喪失と再生の物語でもあった。女性の夫との関わりから見えることのあれこれや、しっかり自分の心を言語化するあたり、あぁ畑野さんだなぁと感じた次第。私も多分枕が合わないと感じてるので依里に相談したい(そこ?)2025/11/17
おしゃべりメガネ
98
ちょっと久しぶりな感じの畑野さん作品。似たような雰囲気の作品を書く作者さんがいないコトもないように感じますが、不思議とやっぱり畑野さんならではな作風を感じます。本作の主人公「依里」は婚約者を事故で亡くし、紆余曲折あってデパートの寝具店でパートとして働くことに。実は婚約者が亡くなったトキ、知らない女性と一緒だった事実もあり、しかもその女性が既婚者だったコトもあり、複雑な心境に。そんな中、寝具店に亡くなった女性の旦那さんが現れ、事態は思わぬ方向に。枕など寝具のコトがとても詳しく書かれているのが印象的でした。2025/12/19
itica
82
デパートの寝具売り場でパートをする依里には、婚約者の事故死と言う辛い過去がある。しかも複雑な事情が絡んでいた。店長や客、デパート仲間と接する中で徐々に自分を取り戻す依里。メンタル面と睡眠は深く関わっている。睡眠の質がどれだけ大切なのかも分かる、ちょっと寝具選びのコツもレクチャーされている内容。その描写は著者の経験からくるものらしい。起伏の少ない物語は、まるで夜の海を漂っているような感覚だった。 2025/12/08
machi☺︎︎゛
78
大学時代からの付き合いで婚約もしていた大好きな彼氏がある日、バス事故で亡くなってしまう。その日から依里はうまく眠れなくなる。寝具を変え眠れるようになった依里は今度は寝具店の販売員として個人に合った寝具を勧める側になる。睡眠と寝具の関係や快眠の為の寝具の重要性もよく分かりストーリーとは別に勉強になった。ストーリー的には依里の神経質すぎる性格が私には合わずイラっとくる場面も。だけど依里のような辛い経験はした事がないから理解できないのかなとも思った。2025/12/12
ゆみねこ
76
付き合って8年半、結婚を目前に控え同棲していた直樹を突然の事故で失った依里。直樹は歳上の既婚女性と東北の温泉宿に泊まり、その帰りにバス事故に遭っていた。それから眠れなくなった依里は、親身になってくれた店長のいる寝具店でパートとして働き始める。眠りについて悩みを抱えるお客さまたちと関わり少しずつ仕事に馴染んだ頃、直樹と一緒に亡くなった女性の夫・高橋が現れる…。淡々と進みながら、重い現実とも向き合う。畑野さんならではの1冊で依里の再生と成長の物語。2025/12/20
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