内容説明
〇「滑稽でもあり哀れでもある主人公が、実在の人物に思えるほど描写が自然で的確」(冲方丁/選評)
〇「名作が名作として読者の心に届く瞬間を目の当たりにできた思いで胸が熱くなった。」(辻村深月/選評)
〇「選評を書いているいまも、得がたい余韻がつづいている。」(道尾秀介/選評)
〇「淡々とした、ときにはユーモラスな語り口ながら、最後の一行まで緊張感が失われないのは、主人公の根源的な戦いを、緻密に、正確に、描いているからだ。感銘を受けた。」(森見登美彦/選評)
〇「こういう人の、こういう日々こそを、青春と呼びたい。いや、呼ばせてください。」(尾崎世界観)
心身ともに疲弊して仕事を辞めた30歳の宮田は、唯一の友人である浜野から、期間工は人と接することの少ない「人間だとは思われない、ほとんど透明」な仕事だと聞き、浜野と共に工場で働くことに。
絶え間なく人間性を削り取られるような境遇の中、気付けば人間らしい営みを求めるようになっていく宮田だったが、実はある秘密を抱えており――。
選考委員の胸を打った、第16回小説野性時代新人賞受賞作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しいたけ
71
惹き込まれ大切に読んだ。期間工として働く主人公と友人の淡々とした生活。二人の関係を何と呼べばいいのだろう。アダルトビデオの話ばかりしていても、お互いの清い魂を信じ安心しているような気品がある。「小説野生時代新人賞」を受賞。その選評で道尾秀介が映画『PERFECT DAYS』を引き合いに出しているが、私も読みながらこの映画を思い描いていた。滑稽の中にある静謐。静謐の中にある狂気。「誰にも顧みられなかった僕の悲しみ」という主人公の孤独に胸が痛む。生きる意味だとか愛だとか、それが隣にあることは当たり前ではない。2026/02/03
えんちゃん
59
読友さんの読みたい本で知りました。第16回小説野性時代新人賞受賞作。大卒で就職するも鬱になり退職した宮田。その後高校の同級生だった浜野に誘われ非正規の期間工へ。工場と寮を行き来する生活を綴った物語。とてもリアルだ。リアルすぎてつらい人もいるかもしれない。でも、単調な日常とやるせなさの中に、ニーチェやAVやユーモアがアクセントになり、不幸そうだけど笑えるという不思議な読後感。浜野のくだらない言葉に何度も何度も救われた。著者デビュー作。とても良かったです。2025/10/28
PEN-F
37
読み終えた直後はいまいちパッとしない一冊だったなと思っていたけど、なぜか読後数日経っても頭の片隅にこの物語がいつも残っているような感覚があった。そして日に日にその思いが強くなっていったので、パラパラながら再読したらなんか地味にしみじみめちゃくちゃ面白いという結論に至りました。終始平凡なキャラ達と共に淡々と物語が進んでいくが... なんなんだろう?この面白さは?🤔2026/01/27
くりん
34
★★★☆☆(3.8)高校時代の友人浜野に誘われ、工場の期間工として働く30歳の宮田が主人公。単調な流れ作業と寝るだけの日々。友人はアダルトビデオに夢中で虚無感ばかりが漂う。何も起こらないようでいて、静かに問題は芽生え、やがて大きな波となる。性の話が多く辟易したが最終章の20ページは凄かった。一気に心揺さぶられ今でも静かな感動に包まれている。『降りるってことを肯定的な選択肢として持ち続けたい』『しれっと生きればいいだろ』心の弱い部分をぎゅっと掴まれたようでもあり、生き方を肯定してもらえたような気もした。2025/09/29
田沼とのも
32
「お前、ワークマンを甘く見るなよ」この一言に震えた。甘く見ていました、ごめんなさい。こういう小説のこういう人物の名前には浜野が多い気がするが、なぜなのか。退屈なルーチンワークが繰り返される工場の期間工の話なのだが、蟹工船的な悲しさ苦しさはあまりなく、取るに足らない小さな事件しか物語に起伏はないのだが、なぜかページを捲る手が止まらない。相席居酒屋のシステムが気持ち悪くて吐いてしまう宮田の感性こそが素晴らしい。盗まれた自転車、ニーチェ、アダルト女優からの手紙、小道具が効いている2025/12/02
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