内容説明
開拓村はネズミの天国。猫ぎらいのトシちゃんの家でも、とうとう猫を飼います。猫のトムにふりまわされる山の生活がユーモラスに生き生きと描かれた、作者の体験にもとづく作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
chimako
64
そうそう、昔の飼い猫ってこんな風だった。猫は買う動物ではなく貰ったり拾ったりするもの。もちろん家と外は自由に行き来。障子の一番下は出入り口としてタテに切り込み(p7の挿絵)を入れてあった。餌は(決して食事などではない)はお勝手の柱の脇に置いたお皿にねこまんま(ごはんにかつぶし)。縁側にトカゲが転がっていたり、時には捕まえた小鳥を見せに来たりかなりワイルド。ただ可愛がるのではなくともに暮らす仲間のような存在だった。そんなことを思い出した懐かしい空気の漂う山のトムさんでした。2015/04/21
ぶんこ
52
戦後間もなく、東北の山奥で女性と子供達だけでの開墾、農家を営み始めた一人が石井桃子さんだったとは、驚きました。読む限りかなり過酷です。そんな一軒家にねずみ捕りの担い手として引き取られた子猫のトム。猫嫌いばかりの中で、少しずつかけがえの無い家族の一員となっていく様子が微笑ましい。トム君、ワイルドです。山越えで町へ行くおばさんの後をついていくなんて、もうカワイイッ。絵も可愛らしくて素敵でした。2016/04/29
ベル@bell-zou
25
ねずみ捕りの為に山の家へやってきた仔猫のトム。まずはカエル捕りからとトムの為にカエルを捕まえるうち"おばさんはカエルとりの名人になっていました"(笑)。町へいったトムとおばさんが繰り広げるドタバタはまるでコント。"かんたんな頭の"トムに関わる出来事は愉快で、そんな山の暮らしを羨ましく思ったことを後書きを読み反省。戦後、田舎の山の家で貧しくも開墾に勤しみ毎日をただ必死に生きる人々が癒されるひと時。それがトムの存在だったのだ。節目節目で上手にオチをつける小気味良い石井桃子さんの文。あのピーターラビットの訳は↓2019/03/14
ツキノ
16
子どもの頃読んだような気がするのだけれどほとんど覚えていない。トムさん、笑えるなぁ。愛情あふれる端正な文章に引き込まれる。最初に出版された光文社版とは絵も描きなおされているとのこと。2016/02/05
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
11
記入漏れ。表紙の通りトムさんは猫。ネズミ捕りをしてくれる家族です。石井桃子さんの戦後の開墾時代を基に書かれた本。苦労を辛そうに表現しないのがらしいですね。2018/12/25