内容説明
精神疾患などの当事者が文学・芸術・娯楽作品を通して自身の体験世界を記述することで、健康な人にはない視点が立ち上がる。
編者は当事者批評概念の提出を念頭に、自他の研究を区分けして現在地点を明らかにしつつ、「当事者としての」さまざまな当事者性をテーマとした対話、「当事者としての」ハイデガー、カント批評といった試みへと探求を進める。
一風変わった発想のなかに、ケアに活かされる気づきや文芸解釈としての新たな可能性が光る。
目次
第I部 当事者批評の来し方・行く末
当事者批評の背景――病者の光学とケアの倫理(横道 誠)
当事者批評の現状報告――総合型、個人研究型、対話型(横道 誠)
脳の多様性を映しだす自己世界――改めてなぜ「みんな水の中」なのか(横道 誠)
第II部 当事者として対話に臨む
当事者研究からオートエスノグラフィーへ/オートエスノグラフィーから当事者研究へ(石原真衣×横道 誠)
「脳の多様性が切り開くワンダーランド」とは?(斎藤真理子×横道 誠)
発達障害を持つ私たちは、いかにして混沌とした世界を再構築していくか(高野秀行×横道 誠)
心と体の困りごと(頭木弘樹×横道 誠)
私は「この私」を通じてしか世界を経験できない(柴崎友香×横道 誠)
自助グループはハームリダクションされた宗教!?(松本俊彦×横道 誠)
第III部 自閉スペクトラム症者としてハイデガー、カントを読む――当事者哲学に向かって
「脳の多様性」とマルティン・ハイデガーの思想(横道 誠)
イマヌエル・カントの人間観に対する当事者批評(横道 誠)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
68
【健常者の視点だけでは見えないものが、病者の視点によって見えてくる】「当事者批評」を「脳の多様性」の問題として、文学および哲学の関連の中から論じた書。「当事者として対話に臨む」で対話相手は、石原真衣、斎藤真理子、高野秀行、頭木弘樹、柴崎友香、松本俊彦の各氏。「ハイデガー、カントを読む」も。巻末に文献。<当事者批評はまだ始まったばかりのため、本書はその可能性の一端を示すものに過ぎない。もっとまるで異なる当事者批評への取り組みもあってしかるべきだとは思うし、筆者自身も絶えず新しい境地を目指していきたい>と。⇒2025/12/12
どら猫さとっち
12
自閉スペクトラム症の著者が、「当事者として」語ること。対話し評論することが、本書に収録されている。僕自身自閉症の傾向が強いが、読んでいてわかるところがある。またハイデガーやカントにも言及するところが興味深い。著者がかなりの酒呑みで、過剰にするところもその傾向なのだろう。発達障害の認識は年々一般化しているが、実はあまり知られていないところもある。それを抱える人たちの生きづらさに寄り添うことも、本書にも含まれている。2025/10/28
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