小説、この小さきもの

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小説、この小さきもの

  • 著者名:鴻巣友季子【著者】
  • 価格 ¥2,600(本体¥2,364)
  • 朝日新聞出版(2025/09発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 690pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784022520791

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内容説明

私たちは孤独ゆえに小説を生みだし、小説を読み書きするゆえに孤独を深めてきた─。小説の本質とは何か。私たちはなぜ物語を必要とするのか。神なき時代の叙事詩である小説の起源を探り、フィクションを「読むこと」と「書くこと」の本質に迫る本格文芸評論。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

げんなり

5
ちょっと前から翻訳者の方のほうが作家よりも言葉に厳密だなと思っていて、著者のエッセイをちょっと読んではその思いをさらに強くしていた。で、本屋さんでたまたま見かけた本書を購入。とにかく面白く読んだ。 小説とは何かと思うこともあり、だから、一部、二部は痛快なほどに明晰に小説とは?、の部分が語られていて、正に我意を得たり!、な感じ。 自分で小説を書くに際して感じていた些細な小説との距離が実は語りのレベルでの違和感だと気付き、ここでもこの自分の感覚は間違ったものではなかったのだと安心もする。 2025/10/06

みんみん

3
『文学は予言する』もそうだったが、盛りだくさんで一読では内容をとても消化しきれず。しかし、小説を読むときの視点がもっと自分のなかで増えていきそうだ。いたく共感(!)したのが、「主人公、登場人物に共感できないから、作品としては評価しない」という現代の風潮(日本だけのことではないらしい)への作者の疑問である。“「自分の知っているものしか知りたくない」「共感できるものにしか接したくない」という排他的な知の袋小路に陥れば、人は世界に働きかける力を失っていく(p322)“とまで作者は言う。痛烈だ。2025/11/02

ずん汰

0
叙情詩がバズって叙事詩書いたら都市から追い出されるカリマコスの弟子のくだり、2000年以上人間とカルチャーが同じことを繰り返している虚しさが面白い。人称と視点の部では、〜た、の語尾が続いて読みづらいからどうにか句点で繋いだり体言止めを使ったりと頑張ったのに、漱石を読んだら全部〜た、で終わっていて結局文章力かよ!!と憤った高校時代の私が喜んでいる。こういう伏線回収ができるのも読書の醍醐味ですね(そんな規模感のエピか?)。しかし私は仮にも文学部卒なのに「かの〇〇」というような作品を全然読んでいないな……。2025/12/17

gero

0
「文学は予言する」と併せて読むと視野が広がった気になれます。小説の劈開面が見えてこうすれば壊れるんじゃないかというアイディアがどんどん湧いてきてソローキン気分を楽しめるという意味でもお勧めです。特に日本語の三人称文体は少し無理してるという話が翻訳者ならではで勉強になりました。近代化の元になった科学的合理性とヒューマニズムは禁断の果実だったので、その申し子の小説は孤独を発明してしまいました。叙事と抒情、大きな物語と散文、一人称と三人称、過去形と現在形、シンパシーとエンパシー。文体の機序を順を追って→2025/12/07

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