内容説明
私たちは孤独ゆえに小説を生みだし、小説を読み書きするゆえに孤独を深めてきた─。小説の本質とは何か。私たちはなぜ物語を必要とするのか。神なき時代の叙事詩である小説の起源を探り、フィクションを「読むこと」と「書くこと」の本質に迫る本格文芸評論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
げんなり
5
ちょっと前から翻訳者の方のほうが作家よりも言葉に厳密だなと思っていて、著者のエッセイをちょっと読んではその思いをさらに強くしていた。で、本屋さんでたまたま見かけた本書を購入。とにかく面白く読んだ。 小説とは何かと思うこともあり、だから、一部、二部は痛快なほどに明晰に小説とは?、の部分が語られていて、正に我意を得たり!、な感じ。 自分で小説を書くに際して感じていた些細な小説との距離が実は語りのレベルでの違和感だと気付き、ここでもこの自分の感覚は間違ったものではなかったのだと安心もする。 2025/10/06
みんみん
2
『文学は予言する』もそうだったが、盛りだくさんで一読では内容をとても消化しきれず。しかし、小説を読むときの視点がもっと自分のなかで増えていきそうだ。いたく共感(!)したのが、「主人公、登場人物に共感できないから、作品としては評価しない」という現代の風潮(日本だけのことではないらしい)への作者の疑問である。“「自分の知っているものしか知りたくない」「共感できるものにしか接したくない」という排他的な知の袋小路に陥れば、人は世界に働きかける力を失っていく(p322)“とまで作者は言う。痛烈だ。2025/11/02




