内容説明
いつものように殺人現場に出くわしてしまった名探偵。華麗な活躍で事件が解決したはずだったそのとき、思わぬ《伏兵》が推理を始め……?(「立体的な薮」)/異世界転生し、チート能力で無双する。誰もが夢見るシチュエーションに恵まれた「俺」だったが、最大の敵は、言葉の《イメージ》だった!(「文化が違う」)/「小説」とは何か、「書く」とは何か。創作の限界に挑む、これぞ禁断の小説爆誕!(「無小説」)/時は新法が成立し、検閲が合法化された曰本。表現の自由が脅かされる中、小説家の渦良は、《あらゆる》手を尽くして作品を書き続けるが――。(「日本最後の小説」)
本格ミステリの著者が挑んだ新境地、メタ・フィクション! あなたが知る小説の概念を覆す、驚きの5編を収録!
※電子書籍版巻末には、電子特典「夫の日記帳」を収録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
28
私たちの知る小説は様々な決まりごとの上に成り立っている。無意識下の常識を逆手に取ったルール無用の超次元小説。出くわした殺人を解決してみせた名探偵の前で推理を始める思わぬ伏兵、異世界転生してチート能力で無双する主人公が対峙する最大の敵、全文他の小説から取ってきた創作の限界に挑むコピペ小説、新法が成立して検閲が合法化された曰本であらゆる手段を使って作品を書き続ける作家。お約束部分の本質を突いてくる著者の思惑にはじわじわと来るものがありましたが、あらゆるものを物語に使い切ろうとする徹底ぶりには脱帽でした(苦笑)2025/09/23
NAOAMI
12
小説のお作法とやらを逆手に取ったかと思えば、声に出して読みたくない「文化が違う」とか声に出して笑った。異世界転生モノって初めて読んだけど(笑)こーゆーことなん?注釈だらけの近代文学からのコピペつなぎは意味が繋がっているようで実際メチャクチャじゃないか。真剣に読もうとして(途中で挫折したが)損した。ってか最後の方、近代文学じゃなくても適当に書ける部分抜きばかりやん。検閲過ぎる時代の小説家が最後に書く小説!究極の無か。なんだ終章だけまともな掌編。単行本版あとがき、文庫版あとがきの20頁程まで楽しませてもろた。2025/10/03
緋莢
10
<そのまま本編を始めてしまうと初見ではやはり戸惑いがちなジャンルです。なぜなら本書は「小説の約束ごとを利用した小説」というものだからです>と、著者自身が「まえがき」で書いているように、〝メタ・フィクション”というジャンルの作品。名探偵が事件を解決するミステリかと思いきや、地の文が、さらには…がという展開になる「立体的な藪」や帯にもある<著者が一文字も書かない>というのは、そういうことか!(続く2025/11/07
なみ
10
“小説”というコンテンツの枠を超越した、メタ・フィクションが集められた挑戦的な短編集。 ルビや注が暴走したり、引用のみで書かれていたりと、とにかくやりたい放題で面白かったです。 特に『文化が違う』が好き。途中からずっと笑いっぱなしでした。ずるいでしょこんなの! 同じく似鳥さんの『叙述トリック短編集』を楽しめた人なら、本作も絶対に楽しめるはずです!2025/10/19
naolog
7
小説の形式で遊ぶ本。「日本最後の小説」はフザケているようで、気を付けないと本当に起こりかねない。ここ数年は批判社会というか、揚げ足取り社会ですしね…。あとがきで出落ち小説と書いているように、残念ながら深みはない。2025/10/09




