内容説明
いつものように殺人現場に出くわしてしまった名探偵。華麗な活躍で事件が解決したはずだったそのとき、思わぬ《伏兵》が推理を始め……?(「立体的な薮」)/異世界転生し、チート能力で無双する。誰もが夢見るシチュエーションに恵まれた「俺」だったが、最大の敵は、言葉の《イメージ》だった!(「文化が違う」)/「小説」とは何か、「書く」とは何か。創作の限界に挑む、これぞ禁断の小説爆誕!(「無小説」)/時は新法が成立し、検閲が合法化された曰本。表現の自由が脅かされる中、小説家の渦良は、《あらゆる》手を尽くして作品を書き続けるが――。(「日本最後の小説」)
本格ミステリの著者が挑んだ新境地、メタ・フィクション! あなたが知る小説の概念を覆す、驚きの5編を収録!
※電子書籍版巻末には、電子特典「夫の日記帳」を収録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
25
私たちの知る小説は様々な決まりごとの上に成り立っている。無意識下の常識を逆手に取ったルール無用の超次元小説。出くわした殺人を解決してみせた名探偵の前で推理を始める思わぬ伏兵、異世界転生してチート能力で無双する主人公が対峙する最大の敵、全文他の小説から取ってきた創作の限界に挑むコピペ小説、新法が成立して検閲が合法化された曰本であらゆる手段を使って作品を書き続ける作家。お約束部分の本質を突いてくる著者の思惑にはじわじわと来るものがありましたが、あらゆるものを物語に使い切ろうとする徹底ぶりには脱帽でした(苦笑)2025/09/23
c3pomotohonzuki
0
注釈、単語の意味、引用、検閲。小説に伴う概念の一端を突き詰めた作品集。 イメージを無理やり書き換えるような読書体験で言葉の可能性と制約を考えさせられるゴリラの話と、妙にリアル感のあるディストピアの「曰本」の話が特によかった。 「たんいては だげんしんた」2025/09/20