岩波現代文庫<br> 表現を味わうための日本語文法

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岩波現代文庫
表現を味わうための日本語文法

  • 著者名:森山卓郎【著】
  • 価格 ¥1,452(本体¥1,320)
  • 岩波書店(2025/09発売)
  • ポイント 13pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784006004897

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内容説明

日本語表現の不思議さと面白さにせまる.詩人や作家,歌人,俳人,ヒットソングの作詞家たちが,研ぎ澄まされた言語感覚のすべてを傾けて生み出した表現を,パズルのように解いてみる.言葉そのものが持つ奥行きを何重にも味わうための,日本語文法の入門書.より深く楽しむために,新たに二つの補説を加えた増補決定版.

目次

一 入門の入門―文法的思考ノススメ
1 ちょっと表現に立ち止まってみる
素朴さと表現としてのひねり
「ゆうゆうと」
「馬鹿に」
「としよりとこどもと」
2 「文法的思考」への誘い
文法的思考
一般化する・根拠を出す
「文法的思考」と「学校文法」
大切なのは「言葉」を意識化すること
二 格を欠くと,
1 はじめに
2 どういう関係?
「私だけ愛してた」
失禁するのは?
3 格助詞による意味の違い
「海へちる」と「海にちる」
「千円からお預かりします」
4 名詞の種類
「冬よ 僕に来い」
5 自他の対応
「扉が閉まります」
「落ちる」と「受かる」は大違い
自他の対応と責任
6 受け身と自動詞――「死ぬ」か「殺される」か
クラムボンの死
ぐりまの死
7 「受け身」の表現と目のつけどころ
「牧のわか馬耳ふかれけり」
「飲んで飲んで飲まれて飲んで」
8 おわりに
三 主語は主語が……
1 はじめに
2 「主語」というもの
「ぼくは だれそれが 好き」
アンパンマンは博愛主義者? それとも人気者?
「便所掃除」
「月が出た出た」と「出た出た月が」
主語と述語の対応
3 「は」と「が」
なぜ「は」「が」か
使われる場所による「は」「が」の使い分け
「生き残つた虫の一つは灯をめぐる」
「恋人がサンタクロース」
「私」と「は」「が」
「コレガ人間ナノデス」
4 「は」以外のとりたて
「こちらこそ申し訳ありません」
「本日は」か「本日も」か
夜も更けて参りました」
「とか」とか
5 おわりに
四 時にどきどき!
1 はじめに
2 状態と動きの表現
モーション俳句と静止画俳句
「動き」と「状態」の違いとは
「二時から三時まで遊んでいた」と「二時から三時まで遊んだ」
「アイスクリームがこぼれました」
「今」と「今現在」
「一つのメルヘン」
3 進行中だけではない「ている」
「ロンドン橋が落ちている」?
「ている」の可能性
4 「た」形が表すもの
「春が来た」
「彼はいい人だった」
「彼女はオーケストラ部の部長だった」のいろんな意味
5 「る」形が表すもの
「次は名古屋に停車するでしょう」?
「お金が百万ほど要る」
「日本人は米を食べます」
「あああ,むかむかする」
「言うこと」が「すること」になる場合
6 おわりに
五 文は人なり.
1 はじめに
2 頼んだり,命じたり,勧めたり
「丁寧」な表現はどれ?
丁寧なはずなのに変?
得するのは誰?
「どうぞ」「どうか」
「結構です」
「肩をおもみください」?
意志と勧誘
3 推量や断定
断定を表す文
不確実を表す形式
「もう駄目なやうか」
「だろう」
「はずだ」と「ちがいない」
「ようだ」と「らしい」
「来ないかもしれない」か「来るかもしれない」か
4 疑問文?
「じゃない」の誤解
もう一つの「じゃない」
肯定も否定も同じ「意味」?
「人を殺すような詩はないか」
「これはもう駝鳥ぢやないぢやないか」
5 おわりに
補説一 日常言語から考える文学の表現の楽しさ
1 はじめに
演奏者をかねた解釈者
『ごんぎつね』の「うん」をどう読むか?
大造じいさんの「ううむ」と「ううん」
2 日常言語での「で」
「お池のまわりに」が「お池のまわりで」でない理由?
「バラが咲いた」「どこかで春が」
3 「からたちの花が咲いたよ」
いろいろな表現の工夫
「時」との関係
4 おわりに
補説二 日常言語から逸脱した文学的表現
1 はじめに
2 逸脱的修飾関係
逸脱的修飾関係とスクリプト
修飾における時間的ずれ
修辞的逸脱と連体修飾
3 逸脱的構文関係
格関係における修辞的逸脱
構文論的擬人法?
二重性
逸脱の「ポエヂイ」
4 文学的表現としての表現の消去(省略)
書かないが表現の存在のみを暗示する
連用形終止
連用形後置名詞
動詞の消去
新聞見だしの格助詞
体言止め―名詞による終止
5 認知過程の現場性の再現
認知の現場性
繰り返しの効果
文学的表現
6 おわりに
岩波現代文庫版へのあとがき
引用作品作者一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

広瀬研究会

6
この文法の指南本の良い点は、例文を示すのに文学作品や唱歌、流行歌をふんだんに引用しているところです。助詞の「は」と「が」を説明するのに「メロスは激怒した」とか「恋人がサンタクロース」を例に出す、みたいな。「らしい」を使った文章を「ようだ」に変えるとどうなるのか、あえて文法を外している箇所を正しく直してみたらどう変わるのか等、書き手がいかに文章と格闘してるのか、ということが実感できます。山頭火の俳句で省略されてるところに隠されているものは何か、なんて考察も愉しかった。2025/12/02

タカオ

1
タイトルどおり日本語文法のことが書かれているが、話題は多岐に渡り、そのひとつひとつがコラムのような雰囲気でポンポンポンポン出てくるので、おもしろくて飽きない。入門といえば入門かもしれないが、ちょっと興味を持って手に取って読むのに、ちょうどいい内容だった。2025/11/22

ぽん

0
日本語を母国語にしているとニュアンスで何となく違いは分かっても、いざどう違うと聞かれるとわからない文法的理解。実際の文学や童謡、詩歌を題材にしてなぜこの表現になっているのかという切り口は、物の見方を深めてくれそうでいい。「みんながだいすきアンパンマン」の解釈違いなんて考えたことなかったし、「お池のまわりに」が「まわりで」だったらどうニュアンスが変わるのかも指摘されて初めてなるほどと思った。2025/12/19

石ころ

0
具体例として引いている詩歌がどれも良い。2025/10/19

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