日本映画のために

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日本映画のために

  • 著者名:蓮實重彦【著】
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  • 岩波書店(2025/09発売)
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  • ISBN:9784000617154

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内容説明

溝口健二,小津安二郎,成瀬巳喜男,山中貞雄から,鈴木清順,吉田喜重,中島貞夫,そして北野武,黒沢清,濱口竜介まで…….四〇年にわたる論稿を編纂した,著者初の日本映画論集成.単著未収録作を多数含む圧巻の三〇篇に加え,書下ろしの「内田吐夢論」,三宅唱との対談,小田香・小森はるかとの鼎談を収める.

目次

「日本映画」のために――序文に代えて
Ⅰ
内田吐夢論――またはその画面を彩る慎ましい顕在性をめぐって
翳りゆく時間のなかで――溝口健二『近松物語』論
言葉の力――溝口健二『残菊物語』論
山中貞雄論
まだ十五歳でしかない彼女の伏し目がちなクローズアップの途方もない美しさについて
――山中貞雄『河内山宗俊』論
「例外」の例外的な擁護――小津安二郎『東京物語』論
二〇〇五年の成瀬巳喜男
寡黙なるものの雄弁――戦後の成瀬巳喜男
Ⅱ
鈴木清順または季節の不在
『悪太郎』讃
神代辰巳を擁護する
影とフィクション
――吉田喜重論 『人間の約束』『嵐が丘』『鏡の女たち』をめぐって
祈りと懇願――澤井信一郎論
京都は,なぜ,「犯罪都市」たりそびれたか
――中島貞夫『893愚連隊』から深作欣二『仁義なき戦い』まで
『893愚連隊』,『狂った野獣』――とりわけ推奨したい二本の活劇
ひたむきに釣瓶を握る女の有無をいわせぬ美しさについて
――中島貞夫『多十郎殉愛記』論
Ⅲ
大震災で映画と出会った男――プロデューサー城戸四郎
「撮影所システム」の消長と「新しさ」の系譜Ⅰ
黒澤明の八月十五日
「撮影所システム」の消長と「新しさ」の系譜Ⅱ
そこに大地震がやってきた
――溝口,山中,そして京都ヌーヴェルヴァーグ
「撮影所システム」の消長と「新しさ」の系譜Ⅲ
一九六〇年,誰が映画を恐れていたか
Ⅳ
北野武,または「神出鬼没」の孤児
空間の悲劇――黒沢清『クリーピー 偽りの隣人』論
聡子の変貌に世界は救われる――黒沢清『スパイの妻』論
沈黙から銃声へ――黒沢清『Cloud クラウド』論
選ぶことの苛酷さについて――濱口竜介『寝ても覚めても』論
Ⅴ
突き詰めた「清順美学」
喜重さんは「驚かせる」ことが得意な方だった
翳りと艶めかしさと
小川紳介の乾いた「殺気」について
アルコールランプの揺らめく炎とともに――追悼 山根貞男
青山真治をみだりに追悼せずにおくために
対談 悦ばしき映画――三宅唱・蓮實重彦
鼎談 “生きている現在”を撮る――小田香・小森はるか・蓮實重彦
初出一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

まぶぜたろう

17
映画は「物語とはいっさい無縁でしかない」「雄弁な細部の集積」であり、一方で清順や中島貞夫の「フィルムを活気づける」「変化するショットの呼吸」や「日本映画の良質な抒情性」に目を見張る、いかにもな御大の記述に、蓮實って意外に印象批評だよねってのが第一の感想で、それには寂しく思いもしたのだが、それでもやはり、あの『河内山宗俊』のあの「粉雪」を「死とは、目で見ることのできる死骸ではなく、透明で軽いこうした不可視の体験」と記す言葉には泣くしかなく、こうした映画への不断の誘惑に、ああ蓮實先生「お見事」と思うわけです。2025/12/18

tsukamg

2
タイトルがアイロニーであること告げるような序文に続き、過去、『ユリイカ』などに掲載された評論、エッセイ、追悼文などがまとめられている。若い才能との対談が敬意に溢れていて微笑ましい。まるでゼミの卒業生と久しぶりに研究室で語らう大学教授のようだ。本の感想とは関係ないが、蓮實先生は基本的に教育者なのだと思う。これぞ大学教授、というお方。2026/09/19

遠藤 悪

0
全ては読めていない。興味がある項だけ読ませていただいたが、とても面白い。視点がいいし、語り口も好きだ。2026/01/21

Naoto

0
映画批評の大家の蓮實重彦による待望の日本映画論集。三隅研次、中川信夫、伏水修など映画史であまり注目されていなかった傑作を「フィルム的な現実」という視点から鮮やかに論じる。書き下ろしの内田吐夢論は著者晩年の集大成的仕事。1930年代、50〜60年代に続く「第三の黄金時代」として、濱口竜介、三宅唱ら現代作家への熱い眼差しも収録。網羅的でも選別的でもない、映画という捉えがたい対象への独自のアプローチが貫かれている。映画を本格的に擁護したいという著者の思いが全編に溢れる、映画への礼を込めた一冊。2025/12/15

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