内容説明
中井英夫・吉行淳之介らの盟友として知られた著者。
代表作「メーゾン・ベルビウ」物ほか、その幻想・推理短篇を厳選した初のベスト・コレクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
54
デカダンの香気を漂わせる作風でデビューするも時代に迎合することなく、筆を折った幻の作家、椿實氏。全く、知らなかった作家だが本屋さんで偶然、眼に留まり、気になって購入。彼の手に掛かれば、戦後の浅草も猥雑でありながらも冴え冴えとした薄曇りの夕方から夜へと移り変わる際の魔力に掛かった異界にも見えてくるから不思議だ。近親相姦を恐れていた友人の妹を娶った男が死者の記憶に酩酊していく「狂気の季節」、メビウスの輪的な「浮遊生物殺人事件」、最も鮮烈で効果的な復讐の味は意外と呆気ない「たそがれ東京」がお気に入り。2026/07/19
iwasabi47
5
戦後焼け野原の群像劇は面白い。が、モチーフの繰り返しが選集にすると目についてしまう。題名作より「人魚不倫」が好きかな。白鯨っぽい。「金魚風美人」も好き。2025/10/11
いると
3
人魚紀聞は読んだことがあると思ったら暗黒のメルヘンで最近読んだことを思い出した。早くに筆を折った、中井英夫・吉行淳之介の同時期の作家らしいが知らなかった。しかし、文体や物語の流れにその次代の作家の匂いがある。そして幻想的で退廃的だ。夜道を歩いていたはずなのに顔を上げると見知らぬ景色になっているかのような不思議さもあるそしてただよう昏い淫猥さ。例えが多くくどい文章はなかなかに読みづらくはあったが面白い時間を過ごせた。2025/11/08
SATAN'S TOY
2
スケッチ、私小説風だったり変格ミステリだったり幻想小説だったり。若いうちに筆を折ったのは、独特の大正、昭和初期的モダニズム文体が時代に合わないと思われたのかな。時代が一周二周してそこがかえって魅力である。2025/11/07
Aki
1
見知った上野浅草が戦後当時はこんなだったのねー!というドキュメンタリー的楽しみもありつつ、でもそれよりは幻想小説寄りの『月光と耳の話』『金魚風美人』『人魚不倫』あたりが気に入った2026/05/01




