内容説明
「子どもがほしいけど、夫はほしくない」
十月革命と内戦を経た一九二〇年代半ばのモスクワ。ネップ期で活況を呈す都市には?びとが?量に流?しており、主?公のミルダらはソ連式の共同住宅で暮らしている。女性共産党員であるミルダは、女性の社会進出を阻害する「子どもの問題」を解消すべく、住宅に付属する新しいタイプの託児所の創設に奮闘する。そうしたさなか、風貌はときに男性に間違えられ、色恋にはまったく関心がないミルダも、あることをきっかけに「子どもがほしい」という欲望をもっている自分に気づく。ミルダは優?学的思想に基づき、良質な精?を提供できるだろうとの見立てのもと、優秀なプロレタリアートのヤコフを自らの計画に誘うのだが……。メイエルホリドがリシツキーの舞台装置で演出を企て、盟友ブレヒトもまたドイツで上演を望んだ、共産主義社会にあるべき「家族」像を議論する演劇史上の問題作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まどの一哉
6
思いっきり物議を醸すであろう設定で初めから面白い。 舞台はミルダの暮らす共同住宅と付属の劇場として使われているクラブスペース。彼女は優生学と獲得形質の遺伝という、当時ソビエトでも支持されていた思想を信条に優秀な労働者を選択。「夫はいりません。あなたの精子だけください」と愛なき生殖をくりかえそうとするが、地域住民の間でとんでもない騒動を巻き起こすのは必然である。2025/09/03
あいかわ
3
SNSで見かけて気になり購入。戯曲とは知らず、設定も知らず、最初の方は読みづらくて苦戦。途中から慣れてきて読了。解説を読み、かなり理解が深まった。トレチヤコフは観客を芝居に参加させようとしていた(アトラクションの概念)。観客を劇場に組み込み「討論」する。今もリーパの考えがマジョリティだと思うが、ミルダの考えに共感する女性もきっといるだろう。ミルダとリーパがぶつかりながらも会話したように、今「討論」する場所があるかと言われると思いつかない。分かり合えなくとも対話する場、考える場が必要だ。2025/09/23
🍭
3
982(98 ロシア文学>2戯曲)図書館本。白水社2025年8月10日発行。トレチヤコフによって1930年代に描かれた戯曲。解説による舞台(演劇)論の背景描写が手厚く、勉強になる。本作の主題は生殖(リプロダクトライツ)と女性、全体主義的な社会の中で子供が家庭(家族)から切り離されて…… 外出中なので帰宅したら感想の続きを書くかも。2025/09/04
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