内容説明
不均衡な犯罪概念を批判する。刑事司法制度と主流派の犯罪学は,犯罪概念の有する不均衡や権力性を容認・黙認し,力なき人々を虐げ続けている。この現状に対して,私たちは異議を唱えたい。ここに日本版批判的犯罪学の「綱領」を掲げ,刑事司法と犯罪研究を問い直す。そして,公共的な討議の場を求める。
目次
第Ⅰ部 批判的犯罪学の視角
第1章 日本版の批判的犯罪学――綱領とその解説
第2章 批判的犯罪学の傾向と実践――研究領域の広がりと奥行き
第3章 被害者研究と研究者の実存をつなぐ――価値中立性,批判的犯罪学,オートエスノグラフィ
第4章 批判的犯罪学とソーシャルハーム概念――ゼミオロジー/ソーシャルハーム・アプローチの問題提起に注目して
第Ⅱ部 批判的犯罪学の展開
第5章 社会変革としての刑罰廃止論
第6章 刑事法研究者は批判的犯罪学の主張をどう受けとめるべきか
第7章 刑事司法の根源的な批判へ――食糧管理法違反のケースから
第8章 逃げながら闘う――ラベリング,社会的犯罪,フィルム・ノワール
コラム① 「ヤクザの妻」のオートエスノグラフィ
コラム② 「未成年者の性」をめぐるパラドックス―成人中心主義の司法と「自由成長」が拓く当事者視点
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
uehara
2
北米で主に固められた批判的犯罪学を受けとめた綱領と論考集。刑法の犯罪概念に基づく不平等な制度とそれに基づく研究は、社会の不均衡を黙認・許容し、そのあおりを個人化している、故に批判する研究は規範的コミットメントを明示し討議をすることを呼びかける。先に北米で主に、と書いたが、本書各論考で示されるように、刑事司法に異議申し立てをしてきた民衆の日常的闘争-「ともに闘える地点を模索し、私たち自身を解放しようと試みるものである」(2章山本論考)-、諸学問と並走、相互に影響。文献レビューもなかなか勉強になる。2026/03/25
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