内容説明
第一人者との問答で流れと主要論点をつかむ、“まったく新しい哲学史入門”再始動!
第4巻のテーマは倫理学! 複雑極まる現代を、私たちはどう生きるべきか。何が正しく、何が許されないことなのか。アリストテレスからはじまり、ベンサム、ミル、カントを経て、ロールズ、ギリガン、マッキンタイア、ヌスバウム、ピーター・シンガーまで、主要な思想家・ジャンルを網羅。特別章では、アナキズムと倫理の深いつながりに迫る。問答形式で哲学を学ぶ面白さを伝える、ありそうでなかった決定版入門シリーズ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
venturingbeyond
35
シリーズ第4弾。これまでの3冊が、古代~中世・近代・現代と時代で区切る西洋哲学史の入門編だったのに対し、今回は倫理学編。第1~3章は、オーソドックスに、功利主義・(義務論の系譜からの)現代正義論・徳倫理学と倫理学説の3つの主要な立場が概説され、4章ではケアの倫理をフェミニズム思想史に定置して、従来の倫理学説に対するオルターナティヴ性が示される(特別章は本書のコンセプトからすると、なくてもよかったかも....)。各章のインタビュイーの人選も納得の4人で、この分野の入口の1冊としては、類書の中でも出色の1冊。2025/11/03
特盛
31
評価3.5/5。本書は、3巻までの哲学史入門シリーズはとはやや別軸、外伝的な位置づけで、扱われているテーマは倫理だ。義務論、功利主義、徳倫理、ロールズの正義論とこの領域では王道的な区分でのコンテクスト紹介に加え、ケアの倫理も取り上げられている。ケアの倫理についてはあまりよく知らなかったが、フェミニズム論の歴史と共にシンプルな整理がされて参考になった。ウィトゲンシュタイン関連でお世話になり、実際にお会いもしたこともある古田先生が冒頭を飾っているのも、思わぬ久しぶりな再会で良かった。2025/11/28
ばんだねいっぺい
25
これは、コンパクトでわかりやすくて、なおかつ、面白い。倫理学にも幅と深さと対象範囲があるというのは、結構、そうだったのかと衝撃を受けた。他のも全部、読みたい。2025/12/09
buuupuuu
23
ケアの倫理について大まかなイメージを持つことができた。何よりもケアに関わる領域というものがあることを意識化したことが大きいと思う。そして、そこに働く権力関係を問題化することまでは従来のフェミニズムと同じだが、ケアそれ自体の力についてはむしろ肯定的に捉え、それを発展させていこうと考えたところに新しさと魅力があったのだと思った。フェミニズムからすれば四元徳は「男性的」な徳なのではないだろうか。あるいは、ケアを必要とする状況を見て取り、それに応じられるということも徳目に加えられるべきだと論じられるかもしれない。2025/12/13
田沼とのも
16
ロールズの正義論や功利主義について興味があったので手に取った。倫理学とは何か、それを学ぶとはどういうことか、入門編にぴったり。哲学者って自然状態とか無知のヴェールとといった白紙状態を夢想して思考実験するのが好きなんだな。「ケアの倫理」という概念に初めて触れたがとても新鮮だった。フェミニズムに対して懐疑的な印象を抱いていたが、「お花畑」ではない論理でケアの倫理を説明する点が面白い。義務論や功利主義では正義が全く届かない領域がある、どの領域にどの倫理が相応しいかを考えることが重要という指摘に唸ってしまった。2025/12/15
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