内容説明
教員の質量低下が深刻化し、教員志望の学生のレベルダウンも著しい。その根底には、教員・生徒・保護者の、学校という場への意識の変容――「逃走」がある。気鋭のジャーナリストが丹念な現場取材をおこない、教育改革に必要な策を提示する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
26
社会の変化と少子化で学校はサービス業と化し、生徒と保護者は消費者となった限界の教室。自身も高校教師だった著者が現場取材して最前線を追う1冊。児童・生徒の問題行動や長期欠席社が増え、低年齢と重症化が進む不登校。学校と保護者の認識の乖離と意識の変化、深刻な教員不足、なぜ教員志望者が増えないのか、教員養成制度の変化と教育実習の実態。人材の確保と育成が困難になっている現状は、社会全体の意識の変化も大きいと感じますが、筆者が指摘する逃走というキーワードは、まさに今の教育の空洞化を的確に表しているような気がしました。2025/10/05
Asakura Arata
6
本書を読んで日本の教育が再起不能に近いほど深刻な状態がよくわかる。間接的に関わることが多く、ダメダメな部分しか見えていないから、全体的にはもう少しマシなのではないかと思っていたら、さにあらずだった。個人単位で教育をしていくしかないか。2025/09/18
totuboy
4
学校から、子供、保護者、教師の三者が逃走している、という点は合意。コロナの時に浮き彫りとなったと思うが、学校の担う役割とはいったい何なのか。本来は「教育」がその主目的であるはずなのに、「福祉」「保育」といった点が重視されているのが今の日本の教育の問題点ではなかろうか。教育実習生の受け入れ態勢や、師範学校時代の教育実習の記録は興味深い。現場の教員に余裕がない今、教育実習生を育てようという気概のある教員が一体どれだけいることか。社会全体が教育の重要性をもっと認識し、学校に対する考え方を変えていかないと!2025/09/17
いぬたち
3
主に子供や保護者及び教員のの学校に対する求心力の低下と教育実習生関連の情報の2本柱から成り立っている本かな?冒頭で『教員の「質」』という言葉を何度も繰り返し用いているが内容ではほぼ語られることがなく悶々としながら読み切ってしまった…。様々な情報が載せられており教育実習生を経験した人々のインタビューを交えてその当時の有益な情報を提示してくれるが、読了後結局この著者は何を言いたかったんだろうという疑問を抱いてしまった。2025/09/15
miu_miu
2
学校依存社会がステークホルダーの学校からの逃走を生む。なるほど。なんでもかんでも学校・教師にやらせる構造のうえにさらに、モンスターペアレント、同僚教師の質の低下によるしわ寄せ、政治・役所主導の改革による教師への要求の増大などが職場のブラック化を進行。生活苦による不登校は認識していたが学校施設の貧困による不登校があるとは。マスコミ報道が悪材料に偏向しているのも教員不足に拍車。たしかに。いいニュースは全国紙やテレビ雑誌では出ないわね。同僚がいいのが一番というのには納得だが、量の確保による質の低下は大いに懸念2025/10/06