ちくま新書<br> 倫理思考トレーニング

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ちくま新書
倫理思考トレーニング

  • 著者名:伊勢田哲治【著者】
  • 価格 ¥1,430(本体¥1,300)
  • 筑摩書房(2025/09発売)
  • ポイント 13pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480077066

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内容説明

物事の善し悪しを判断するのは難しい。社会のあるべき姿や幸せの形も人それぞれ。ならば意見のすれ違う人と対話するのは不毛なのだろうか。それでも私たちは他者と共に社会をつくるため、答えの出ない問題について話し合わなければいけないことがある。そんなとき、小手先の論理で相手を説き伏せようとする前に、対立の根本に遡って「そもそも倫理とは何か」と考えてみることがとても役に立つ。「価値観の壁」を越え、生産的に議論するためのクリティカル・ディスカッション入門。

目次

はしがき/序章 哲学思考のその先へ/SS0‐1 唯一無二の食事(1)/クリティカル・シンキングとは/協力的クリティカル・シンキング/倫理的クリティカル・シンキング/倫理的思考における文脈主義/SS0‐2 唯一無二の食事(2)/「そもそも倫理とは何か」を考える必要がでてくるのはどういうときか/本書の構成/ブックガイド/第一章 倫理を外から眺める/SS1‐1 エンケラドス生命たちの自衛(1)/自然主義的視点/モラル・サイコロジー/暴走路面電車という思考実験/倫理的判断ははらわたの感覚で決まっている/倫理は進化のプロセスで形成された?/道徳は簡単には進化に還元できない/運命共同体が生む道徳/SS1‐2 エンケラドス生命たちの自衛(2)/ブックガイド/第二章 複視的に世界を眺める方法──中の人にしか見えない「社会」とは?/SS2‐1 見えるようになったもの(1)/拡張現実とは/「社会的な事実」とは/なぜ一万円札には価値があるか──制度的な規則と制度的事実/やりとりの中から浮かび上がる「社会」/社会的な存在としての「自己」/一貫性論争/コラム 平野啓一郎の分人主義/拡張現実としての「社会的事実」/「社会メガネ」は気の持ちよう?/一様ではない「社会メガネ」/二重写しに世界を見る/SS2‐2 見えるようになったもの(2)/社会の存在論/ブックガイド/第三章 倫理とは何か──自由意志と倫理はどのように「見える」ようになるか/1 道徳的主体としての自分/SS3‐1 丘に穴掘る部族の覚醒(1)/倫理メガネをかけて世界を眺める/「自由意志メガネ」のむこうに見える道徳的主体/自由意志は存在しないのか/道徳判断と行為はどうつながるか/2 善悪の客観性はどこからくるのか/SS3‐2 丘に穴掘る部族の覚醒(2)/「べき」には一貫性が求められる/客観主義と実在論/「客観性」や「実在性」は異星人にも見えるのか/「道徳的理由」に彩られた世界/コラム 非認知主義に対するアドバンテージ(ガチな人向けの補足)/人々はどのくらい道徳を客観的に捉えているか/3 善悪はフィクションか/「倫理メガネ」と錯誤理論/メガネをかける=感受性を研ぎ澄ます/SS3‐3 丘に穴掘る部族の覚醒(3)/倫理とは半強制参加の拡張現実だ/自分のメガネは見えない/「倫理メガネ」の多層性と多様性/ブックガイド/第四章 倫理的思考の四つのものさし──善悪をどう測るか/1 倫理的思考のものさし/SS4‐1 旧友の依頼(1)/規範倫理学の考え方/四つのものさし/2 結果のものさし/幸せについての三つの考え方/功利主義という考え方/価値があるのは「幸福」だけか/コラム 生命の価値/3 ルールのものさし/ルールの類型化/義務論(1)──一見自明の義務/義務論(2)──カント主義の場合/切り札としての権利/自己決定権とインフォームド・コンセント/誰の視点かで変わる答え/副次効果という考え方は有効か/4 性格のものさし/古代ギリシアから儒教まで/性格のものさしの特徴/5 関係のものさし/ケアするものとされるものの関係/専門職倫理/関係のものさしはあくまで関係がある限りで働く/コラム 自分に対する責任/6 四つのものさしを使いこなす/ものさしへの感受性を研ぎ澄ます/SS4‐2 旧友の依頼(2)/正当化的用法と発見的用法/倫理判断のクリームシチューモデル/コラム 未確定領域功利主義(ガチな人向けの補足)/ブックガイド/第五章 なぜ意見が食い違うのか──倫理問題の難しさ/1 意見はどこで食い違っているか/SS5‐1 真空愛着(1)/すれ違いのパターン分類/2 言葉の意味についての食い違い/SS5‐2 真空愛着(2)/「定義」のずれ/言葉のネットワークのずれ/空を飛べないものは鳥ではない?──事例ベースで学んだ概念のずれ/言葉の使い方をどうすり合わせるか/3 事実関係についての食い違い/SS5‐3 真空愛着(3)/誰が何を言ったかの食い違い/調査が必要なことがらについての食い違い/調査結果の解釈のずれ/幅のある推定値/将来予測のずれ/誰が情報提供者として信頼できるか/バイアスが対立の溝を深める/4 価値についての食い違い/SS5‐4 真空愛着(4)/強制参加の中の自由度が生む考え方の違い/コラム とがめるほどでもない過ち/社会メガネの食い違い/5 問題設定についての食い違い/SS5‐5 真空愛着(5)/問題の基本的枠組みについてのずれ/検討範囲のずれ/「次元数」の違い/誰に立証責任があるか/見え方の差を生む心理的背景/どれでもよいというわけではない/6 多対多の論争における食い違い/SS5‐6 真空愛着(6)/SNSが社会を分断する?/なぜネットはいつも揉めているのか──敵対的な討論状況/なぜ討論相手の主張をまじめに受けとれないか/一般化された欠如モデル/多対多討論状況/やっつける「敵」を特定する──「陣営」のイメージの危険性/わら人形論法の温床──多対多討論状況が生む討論のすれ違い/多対多敵対的討論状況というモデル/ブックガイド/第六章 互いの論証をチェックする──協力的に討論をするための技法(1)/1 協力的討論のながれ/SS6‐1 メッセンジャー号の批判的討論(クリティカル・ディスカッション)(1)/協力的に討論するための五つのステップ/協力的態度は相互作用の中で作られる/「対立の解消」の二つのパターン/2 論証図をつくる/論証図における矢印の意味/コラム MECE(ミーシー)/消極的根拠と否定的根拠/論証構造の類型/論証図についてのよくある疑問/3 暗黙の前提と結論の明示化/暗黙の結論の明示化/4 前提と推論の予備チェック/事実関係をチェックする/価値主張をチェックする/誤謬推論になっていないかチェックする/文脈にあった推論になっているか/ブックガイド/第七章 論破ではなく協力──協力的に討論をするための技法②/1 対論図をつくる/SS7‐1 メッセンジャー号の批判的討論(クリティカル・ディスカッション)(2)/対論図の基本的な考え方/対論になっていない討論/わら人形論法と論点ずらしの誤謬/コラム 食い違いのポイントをしぼりこむ方法/どういう場合に考えを変えるか訊いてみる/SS7‐2 メッセンジャー号の批判的討論(クリティカル・ディスカッション)(3)/2 対立をどう解消するか/言葉遣いのすり合わせ/事実認識のすり合わせ/心理学的仕組みに注意をはらう/価値主張のずれの解消/メガネをすり合わせる/正解は発見されるのか発明されるのか/価値の大小についての食い違い/問題設定についての食い違い/地平の融合/SS7‐3 メッセンジャー号の批判的討論(クリティカル・ディスカッション)(4)/3 多対多敵対的討論状況にどう対処するか/一般化された欠如モデルを避ける/「陣営」として捉えない/ゼロサム的に問題を捉えない/第三者にどう見えるかも気にかける/コラム ネガティブ・ケイパビリティ/ブックガイド/第八章 批判的でいるのはいつでもよいことか──無理せずクリティカルに生きる/SS8‐1 エピローグ(1)/ここまでのおさらい/クリティカル・シンキングはどこまで合理的か/クリティカル・シンキングは騙されにくいか/SS8‐2 エピローグ(2)/ つきとも協力すべきか/自分を傷つけようとしている相手ならどうか/SS8‐3 エピローグ(3)/売られた喧嘩は買うしかないのか/当事者を傷つける心配はないか──二次被害の可能性と文脈の分業/SS8‐4 エピローグ(4)/身の危険を感じたら考える前にまず逃げよ──緊急事態とクリティカル・シンキング/無理せずクリティカルに生きる/ブックガイド/注/あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

zunzun

3
伊勢田氏の『倫理思考トレーニング』は読了した。第一章~第四章までで倫理学講義、第五章が意見の食い違いを5つに分類、六章で論証図の作り方とそれぞれを検証すること、七章で対論図、八章で「いつも批判的でいることはいいのか」が扱われている。ヘアの非認知主義から脱したなどが見所かな。クリティカルシンキングの本で倫理学講義をしてくる本って新書媒体で今まであったんだろうか。後書きを読むと最初はこの部分は軽く触れる予定だったとある。2025/09/14

ピラミッド

2
めーっちゃ面白かった。実際の対話の場で討論が成立しない、お互いに違う言語を話しているくらい噛み合わないことなんて珍しくない。そんな状況がsf的な物語で極端に表されていて、分かりやすく学べた。おかれている状況が違ったとしても、理解することはできるかもしれない。そのために、かけているメガネをチューンアップしていきたい。参考文献も面白そう2025/11/18

ゼロ投資大学

2
意見のすれ違う人と話し合うことは絶対に必要である。私たちは簡単に答えの出ない問題について話し合わなければならないこともあり、相手を説き伏せようとする前に、倫理に立ち返って討論することが重要である。2025/11/02

miharasi_mamiya

1
倫理をめがねをかけて通す比喩で説明している。倫理的思考のものさしにはどんな種類があるか、倫理に関する意見はどこで食い違うのか、SNSでは多対多敵対状況がどうして生じるのかなど。倫理に関する話を理解しやすくするため、架空のSF的設定の物語が途中に挟まれてその物語が面白かった。2025/10/17

tarokuni

0
意見の異なる相手とどう対話し、どう対立を解消していくか、倫理学から始めてSFショートストーリーを交えながら探っていくボトムアップなハウツー本。前半で倫理学の理論面、特に一つの規範に縛られないための複視的思考、後半で論証図をベースにしたクリティカル・ディスカッションの話。実用面では終章の非協力的な相手とどう向き合うかの話が面白いし重要だと思った。昔から著者をフォローしてきたので、非認知主義から実在論に転向したというのが結構衝撃。2025/12/12

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