内容説明
播磨(はりま)・備前(びぜん)・美作(みまさか)の守護として室町幕府を支えた赤松氏。播磨国佐用(さよう)荘を拠点に、南北朝期の円心(えんしん)・則祐(そくゆう)親子の躍動で幕府重臣としての地位を築くも、将軍義教を殺害した嘉吉の乱で一時滅亡。応仁の乱を前に再興を許されたが、地元国衆の台頭もあり織豊期に終焉を迎える。新出史料を駆使した研究成果をもとに、地域社会から見た一族の興亡を描く。
目次
播磨における赤松氏―プロローグ
鎌倉時代の赤松氏を探る
播磨宇野一族と鎌倉幕府勢力
深まる六波羅支配と宇野氏・菅家党
南北朝内乱と赤松円心
円心挙兵
室町幕府の成立と円心・範資
観応の擾乱と則祐
則祐の南朝転属と播磨守護職
則祐と赤松一族
赤松一族の展開と嘉吉の乱
義則・満祐期の守護分国支配
京都の赤松一族
満祐と嘉吉の乱
政則とその妻洞松院局
政則の三ヵ国守護職復活
洞松院局と義村
赤松氏の終焉
晴政の時代
義祐と則房
赤松一族の昔語り―エピローグ
あとがき
主な参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
129
足利尊氏を助け幕府創設に大功のあった赤松円心と、6代将軍を暗殺し深い打撃を与えた満祐。室町時代の歴史では絶対に書き落とせない2人だが、彼ら以外の赤松氏は名も知られていない。足利と関わった者以外は基本的に播磨の守護として過ごしたが、戦国時代に移行すると力をつけてきた国衆に圧迫され衰亡の一途をたどる。守護大名から戦国大名の移行に失敗して滅亡に至るプロセスから、幕府重臣という名門意識を拭えず世の移り変わりの激しさに対応できなかった状況が見えてくる。武家が武を誇らず家柄や家格にしがみつけば、終焉は当然だったのだ。2025/10/12
フク
14
#読了 円心と息子たち、あとは嘉吉の乱の満祐の名前程度しか知らずかなり苦戦した。 分家が増えると力が分割され、その結果誰が誰の家だったかわからなくなる形で赤松一族の力の変化を感じた。 天空の城でお馴染み竹田城は赤松氏のこさえた城らしく、テンション上がりますねえ! 図書館2025/12/09
CJ
3
奇しくも、嘉吉の乱を描いた短編が収録された円城塔『去年、本能寺で』の数ヶ月後という、絶好のタイミングでの出版となった(笑) その室町中期以降は特に、終始、分裂・抗争・家臣らが自立志向にある中で、中世末まで形式上とはいえ一定の尊重は受けていたのは、室町幕府と重なる部分もあるようで興味深かった。 ところで、私の出身である兵庫県で小学校では同級生にいたのに、その後出会う機会がない苗字がいくつか出て来たのが面白かった(上月、豊福など)。また、『信長の野望』で最初にプレイした(すぐに乗り替えた)ことも思い出した。 2025/11/18
ナタネ油
1
良書。赤松氏の出自から終焉までを一冊でまとめる。著者はもともと中世初期~前期の在地社会や荘園制の研究をされており、そうした視点の叙述が光る。また、庶流家の動向も充実。随所に最近の新史料の言及もあり。2025/12/13




