数理モデルはなぜ現実世界を語れないのか - 社会的な視点から科学的予測を考える

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数理モデルはなぜ現実世界を語れないのか - 社会的な視点から科学的予測を考える

  • ISBN:9784826902724

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内容説明

すべてが仮説どおりに動く、現実世界とは乖離した「モデルランド」から、私たちは抜け出すことができるのか?

現実世界で起こるさまざまな現象を数式であらわす「数理モデル」。
複雑な世界を理解して意思決定をするために、いまや欠かせない重要なツールだ。
だが、モデルは現実をそっくりそのまま映し出すことはできない。
もしモデルを構築するときに、バイアスがかかったり、社会的な要素が考慮されていなかったら?

どうすれば数理モデルを不確実な現実世界で正しく役立てることができるのか?
感染症のパンデミックや金融リスク管理、気候変動の予測など、数理モデルが使用された実例を提示しながら、
数理モデルに潜む本質的な問題と危険性を検討する。
人々が正しい未来に向かうために、文化や価値観、偏見といった社会・政治的な問題として
数理モデルを根本から問い直す画期的な論考。

◆ ◆ ◆
モデルがいかに頻繁に誤用されているか、いかに使用されるべきかを論じる素晴らしい本。
 ──ジョン・ケイ(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス客員教授、『金融に未来はあるか』著者)

数理モデルが世界をどう方向づけるかを示す明快で説得力のあるガイド。数理モデルをよく知らない消費者から洗練されたモデルユーザーになる方法を教えてくれる。
 ──スティアン・ウェストレイク(王立統計協会最高責任者、『無形資産経済 見えてきた5つの壁』共著者)

目次

1 モデルランドとはどこのこと
2 箱に入れて考える──モデル化するとはどういうことか
3 モデルはメタファーのようなもの──比喩としてのモデル
4 犬に最も似ている猫──モデルの解釈
5 作り話と予測と確信──モデルとナラティブの関係
6 説明責任の空白──モデルの役割と専門家の役割
7 万物の支配者──経済モデルと金融モデル
8 込み入った空気──天気モデルと気候モデル
9 完全なる制御下──感染症と疫学モデル
10 モデルランドからの脱出

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

shin_ash

7
「モデルによる予測結果の報告」と「モデルを通じた現実世界の理解に関する説明」の違いを解説している様に思う。ウィットに富んだ表現が訳し難かったのか、折角の気の利いた言い回しがかえって解り難くなってるところもあるが、こう言う概念は多かれ少なかれある程度モデルによる理解を他人に説明した経験のある人でないと理解できない様に思える。自分を振り返ってもどこかの段階でモデルに対して「自分の理解に責任を持つ」覚悟を自覚した様な気がするし、そうでない人の相談や報告はどこか内容への責任が他人任せの印象を受ける。気をつけたい。2025/11/06

鴨長石

4
数理モデルの表現はあくまで「モデルランド」の話で、現実世界とは異なる。モデルの専門家だからこその指摘で、一般人の我々も肝に銘じるべき事実である。まとめとして提示される、責任あるモデリングのための5つの原則「目的を定義する」「わからないと言わない」「価値判断をする」「モデルランドではなく現実世界のことを書く」「多くのモデルを使用する」はよく整理されており、素人がモデルを適切に判断するための指針ともなる。ただ、地球温暖化と感染症についてはそれまでの慎重な姿勢と異なり、中立性を欠いているのではないかと感じた。2025/10/16

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