法蔵館文庫<br> 催眠術の日本近代

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法蔵館文庫
催眠術の日本近代

  • 著者名:一柳廣孝【著】
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  • 法藏館(2025/09発売)
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  • ISBN:9784831827074

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内容説明

〈宗教〉と〈科学〉、そして〈オカルト〉のはざまで、さまざまな主体を巻き込みながら狂い咲いた催眠術。知と欲望が渦巻く明治日本の「催眠術ブーム」の奔流から、近代日本の知られざる横顔を鮮やかに描き出す!

目次

はじめに
Ⅰ 催眠術の登場――合理と非合理のはざまで
1 催眠術の移入
「こっくりさん」の向こう側/催眠術の移入/アカデミズムと催眠術/催眠術と小説・演芸/催眠術ブームの断絶
2 異形としてのメスメリズム
メスメリズムの移入/メスメリズムとスピリチュアリズム/メスメリズムと「電気」
3 「幻術」の発見
催眠術と幻術のあいだ/幻術としての「忍術」/近藤嘉三『幻術の理法』『魔術と催眠術』/気合術師、浜口熊嶽
4 「幻術」の歴史
幻術の歴史/幻術とキリシタン/『動物電気概論』と『魔術と催眠術』の〈絵〉
Ⅱ 催眠術ブームの背景
1 明治三十六年の催眠術
催眠術ブームの再来/「脳」と「神経」と催眠術/催眠術書の中身/催眠術と心霊学/「万能薬」としての催眠術/催眠術の「霊」的理論
2 幸田露伴「術比べ」の周辺
催眠術は「邪法」か「科学」か/「狐」というメタファー/憑物信仰と催眠術/写真・玉突き・催眠術
3 アカデミズムと権力/制度
『催眠術及ズッゲスチオン論集』の刊行/心理学・精神医学の眼差し/心理学と精神医学の「学」的附置/犯罪としての催眠術/宮崎県の私為医業被告事件
Ⅲ 変質する催眠術
1 森鴎外「魔睡」の象徴性
鴎外と「魔睡」/明治四十二年の催眠術/誘発される「性」
2 「千里眼事件」の波紋
千里眼事件と催眠術/メディアの眼差し/福来友吉の挫折/「催眠術」から「霊術」へ
Ⅳ 霊術の時代
1 霊術のバックグラウンド
大槻快尊「精神療法の話」/心理学の「心霊」からの撤退/高橋五郎の「心霊哲学」/マイヤーズの「潜在意識」/精神分析の危うさ/禅と催眠術
2 多面体としての霊術
村上辰午郎の催眠術普及運動/多面体としての霊術/霊術の営業戦略/太霊道と大本教/「神経病」の時代のなかで
3 霊術の行方
庶民の眼差し/霊術ブームの終焉
おわりに――世紀末と現代日本
あとがき/文庫版あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

iwasabi47

5
軽いメモ。幻術(キリシタン・バテレン)→催眠術(メスメリズム)→アカデミズム批判→霊術の流れ。明治36年催眠術ブームに藤村操の事件。アカデミズム批判されてからも、名称変更しながら軍人や教育者によって“催眠術”が行われる→人を操る近代的欲望 2025/10/27

yuyuCh

1
簡単にまとめられないけど面白かった。催眠術・精神医学・心理学そして霊術・療術…それがどのカテゴリに分類されるのか、学術と民間のあいだ…さまざまなせめぎ合いの中で生きのびてきたもの、否定されたものがある。厳密性のなかで使われる概念と、どこまでも広く怪しく流通するイメージとしての術、その関係。まだ考え続けたい話。2025/11/12

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