内容説明
「有る」あるいは「無い」とは何か? 本当の「自己」とは何か? 何かが何かの原因になるとはどのようなことか? インド哲学の長大な歴史のなかで追究されてきた数々の疑問。本書は、西洋哲学における存在論・認識論・自我論・因果論などの議論展開も参照しながら、古典文献学・インド思想史の枠をこえてそれらの難問に接近する、野心的な試みである。ことば、存在、自己、名付け、因果、知識、無我──もっとも根源的な七つの問いを軸に、明快かつ刺激的な筆致に導かれつつ、インド哲学の深部に迫る一冊。
目次
はじめに/序 インド哲学は哲学である/第一問 ことばには世界を創る力があるのか? /1 真実のことばは世界を創る/2 真実、戒、誓戒/3 菩薩の波羅蜜と誓願/第二問 「有る」とは何か、「無い」とは何か? /1 唯名論における有/2 実在論における有/3 絶対無とは何か/4 無は知覚できるか/第三問 本当の「自己」とは何か? /1 自己と心身の異同/2 自己認識の可能性/3 自己と世界の関係/第四問 無我説は成り立つか? /1 非我説から無我説へ/2 唯名論からする無我説/3 現象主義からする無我説/4 輪廻に自己はいらないとする無我説/第五問 名付けの根拠は何か? /1 語の適用根拠としての普遍と特殊/2 普遍と特殊の用語法/第六問 知識は形をもつか? /1 有形象知識論/2 無形象知識論における知識の真偽/第七問 どのようにして、何が何の原因なのか? /1 二つの因果論/2 無分別知と有分別知──その因果関係/あとがき/文庫版へのあとがき/索引




