内容説明
近藤勇、土方歳三とともに壬生浪士に参加した井上源三郎、三十五歳。おせっかい焼きの源三郎は、土方が本気になった恋の相手を探るなど、大小問わず事件をかぎつけては、首を突っ込むが、解決するごとに、ややこしい真相をあらわにしてしまう。源三郎がそれぞれに下した決断とは……。激動の時代を生きた男たちの息遣いを熱く感じる傑作捕物帖!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Die-Go
65
新撰組副長助勤・井上源三郎が、隊内で起こる数々の事件を解決していく推理もの(?)。架空のお話なので、井上源三郎主役で史実を追いたい人には不向きか。ただ、最終章にはちょっと感動した。★★★☆☆2017/05/07
優希
47
心がほっこりする新選組ものでした。捕物帖仕立てにしているのが面白かったです。多分源さんこと井上源三郎が主人公のおかげだと思います。源さんの人柄が殺伐とした新選組をあたたかい味わいにしているのだと思いました。時代が違えば普通の青年として皆が生きているんだなとしみじみしてしまいます。大小問わず事件を嗅ぎ付ければ首をつっこむ源さんがほほえましかったですね。土方、総司の関係も思わず頬が緩んでしまいます。血の雨の降らない新選組ものもまたいいものですね。面白かったです。2014/09/15
り こ む ん
31
人情味あふるる探偵源さん。なんとなく、新撰組の中では望洋としたイメージを勝手に持っていたので、ハキハキと動き回る源さんが、新鮮に映る。最終章はなんとなくそうなるかなぁ~とは、思っていながらも読むとやっぱ泣ける。よい話なのだけど、そうだなあ…最終章は無くてもよかったかな?最後まで人情味あふるる探偵源さんでまとめてほしかっかたような感じがする。2019/02/22
ロッキー
29
「トシ、いつも世話になっているのにすまねえな」「源さん、な~にいいってことよ。今回はあんたが主役だ」ということで、おせっかい焼きの源さんが主役です。『新撰組血風録』では源さん危機あらば完全武装の組総動員で駆けつけ、本著では近藤局長から鬼の副長の尾行という特命も受ける新撰組の中で不思議な立場にいる源さん。圧倒的な強さはないが情に厚く、名探偵よろしく様々な事件を解決していく。一変クールな尾形俊太郎も源さんの前では照れ屋さん。土方、沖田といった新撰組隊士もいいキャラクターで楽しい作品でした。2011/12/11
hrmt
26
新撰組創立時からのメンバーなのにいつもあまりメインには取り上げられない井上源三郎。斯く言う私も“そういえば居たねぇ”ぐらいにしか認識してなかった(^^;;人情家で世話好きなこの源さんの恋バナも混じえつつ、次々起こる諸問題や事件に首を突っ込んでは尾形俊太郎や中村久馬も巻き込んで解決していきます。血塗られた新撰組にあって、近藤.土方や沖田からも信頼を寄せられる、この泥臭くてお節介キャラが何とも微笑ましくて良いのです。最終話では、その源さんが遺した形見とも言える三太を取り巻く思いに、気づいたら涙していました。2015/11/11