内容説明
『枕草子』『土佐日記』の昔から日本人に親しまれてきた「エッセイ」。「昭和軽薄体」の大ブームや芸能人エッセイの人気、そして高齢者エッセイの百花繚乱ぶりなど、いつの世も「エッセイ」は時代とともにある。
では「エッセイ」とは何か? 「随筆」「コラム」「ノンフィクション」とどう違う?
「エッセイ」を読んだことのない人はいないはずなのに、意外と誰も答えられない「エッセイ」の正体。
「エッセイスト」を名乗り講談社エッセイ賞選考委員を長らく務めてきた「エッセイの専門家」である著者が、時代を彩った大ヒット名エッセイ160余作品をひもときながら、満を持して真正面から「エッセイ」を縦横無尽に語り尽くす!
エッセイストがエッセイについて綴るエッセイ、ついに登場。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ピンガペンギン
28
今回は、ざっと読みました。目次は、エッセイとは何か、時代とエッセイ、女性とエッセイ、エッセイの未来。エッセイとは、そもそも定義出来ない、定義に挑戦する文学形式。随筆との違いは、エッセイはカッコいいぽいもの?という、あいまいなものに。井上ひさし(エッセイ賞選考委員を25年勤めた)「エッセイとは自慢話」。それには酒井氏も納得だと。自分を客観視することがないと途端に自慢臭さが溢れてしまう形式。「詩人はやすやすと複雑にエッセイの世界に浸潤してくる」というところが興味深い。講談社エッセイ賞の初期の受賞者は男性→2025/11/28
Roko
25
「これまで知らなかったことを紹介してくれる」ものと「わたしもそうだと思っていたことを肯定してくれるもの」エッセイはこの2つのタイプに分かれると、酒井さんは分析しています。女性のエッセイが表に出るようになってきたのは向田邦子さんあたりからでしょうか。淡々とした日常の中にハッとすることが起きるところが大好きです。それとは対照的な群ようこさんのグズグズした日常は、「あるある」と思うことばかりです。最近はジェーン・スーさんの文章を読んでいて、「よく言ってくれた!」と思うことが多いのです。2025/10/31
Inzaghico (Etsuko Oshita)
9
井上ひさしの「エッセイとは自慢話のことである」という言葉が帯にど~ん。とはいえ、自慢話を楽しく読んでもらうのも芸が要る。おまけに、エッセイがうまい人というのは、エッセイだけしか書いていないというケースがきわめて少ない。別の世界で秀でた人が手がけたエッセイが面白い、というケースがきわめて多い。エッセイを書くための題材をその世界で見つけるからだろうな。 エッセイというジャンルの境界線も曖昧だ。ノンフィクションや私小説と交差するものもあるが、詩(!)と交差するものまであるとは。2025/11/29
かすみ
2
読めばなんとなくでも“エッセイ”が書けるようになるかもしれないな…?と下心のままに買ってきた。平和な時代だからこそ、そういう気持ちになれるのね。高めの視点から見下ろされてマルっと見透かされて恥ずかしくなってしまった。甘ちゃんだなあ。ジェーン・スーがmixiきっかけにデビューした話、有名かも知れないけど知らなかった。この“ちょっとだけ知ってることへの新たな気づき”が、他人の関心を集めて読まれるエッセイになるのねと書き留めておく。「聡明な女による料理エッセイ」好きだけどこの文字列で読むと恥ずかしくなるな…2025/10/04
ぽん
1
どこまでをエッセイに含めるかって確かにそれが難しくて、事実かフィクションか、縛りがあるか自由であるかすら解釈に幅があることにも驚いた。エッセイ賞やその選考委員をたどるというのも一つの切り口だが、それだけじゃ捉えきれないものもある。その捉えどころの難しさを追おうとしているのが面白かった。今だったらコミックエッセイとかもエッセイに含まれるだろうし、ブログの時代はともかく、SNSのバズり、インフルエンサーまでいくと、外延が見えないよな。2025/12/01
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