内容説明
すがすがしく力強い声がする。
この先、人間として小説家として迷ったとき、
私はこの本の言葉に奮い立たされることになるだろう。
ーー宇佐見りん
山田詠美は常に今を生きている。それも常に今に迎合せずに。
だからこそ、誰よりも文学を愛した少女は、誰よりも文学に愛される作家となったのだ。
ーー吉田修一
初めて「売文」を試みた文学少女時代、挫折を噛み締めた学生漫画家時代、高揚とどん底の新宿・六本木時代、作家デビュー前夜の横田基地時代、誹謗中傷に傷ついたデビュー後、直木賞受賞、敬愛する人々との出会い、結婚と離婚、そして……
積み重なった記憶の結晶は、やがて言葉として紡がれる。「小説家という生き物」の魂の航海をたどる本格自伝小説。
私は、この自伝めいた話を書き進めながら、自分の「根」と「葉」にさまざまな影響を及ぼした言霊の正体を探っていこうと思う。
ーー山田詠美
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Ayako Moroi
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最近再読した自伝的小説『ひざまずいて足をお舐め』の元ネタを読んだという感じ。これがこうなるのか、というような。山田詠美の小説を何冊も読むと繰り返し出てくるモチーフがあり、それがここにも見えている。見事なディナーを作って待つ女性と逃げる男性というモチーフもそうだったのかと納得した。文庫本の村田沙耶香氏の書評にも共感した。山田詠美作品に登場する「主体的に性行為をする女の子」に目を開かされた経験が私にもあり、私の軸になる部分を作っているといえる。私の場合は『放課後の音符(キイノート)』だったが。2025/09/19