講談社文庫<br> ほんのこども

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講談社文庫
ほんのこども

  • 著者名:町屋良平【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 講談社(2025/09発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
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  • ISBN:9784065408162

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内容説明

横溢する暴力と身体、無垢なる魂の軌跡。第44回野間文芸新人賞受賞作!

元同級生あべくんからのメールにあった文章から着想したシーンをつないで、
商業作家はあべくん自身の人生を小説にしようとする。
父による母殺傷事件、両親がころしころされていたあべくんはやさしく恋するみたいに他の人体を壊す。
殴られても反発するようによろこぶ身体。やさしさや暴力で愛撫し合い痛みをこらえるようによろこぶ身体。
物語にかえろうとするから人生はつらく、日常が重すぎてひとをころしたくなる。
恋人をころして自分も死んだところで折り返し、あべくんの物語は無限に再生を繰り返す。
小説家があべくんなのかあべくんがかれなのか、やがてふたりの境界は曖昧になり、問い自体が意味を失う。

言葉を与えられていない領域に光をあて小説は紡がれ、大量虐殺の記憶が時空を架橋しやがて物語は侵蝕される。
ーー世界文学に接続する芥川賞作家の真骨頂・新境地。ーー

小説で考え、小説が考える。作者には小説に対する圧倒的な信頼がある。ーー保坂和志(野間文芸新人賞選評より)

鴻巣友季子さん絶賛!読書量と強靭な知性に瞠目!
“すべてのポートレイトは画家の自画像であり、すべての小説は自伝を目指すと言う。おそらくすべての小説はどこかしら、一人称の失恋なのだ。”
“小説でなにかを「再現」することは、過去のよみがえりのように見えて、未然の予告なのだ。すべてのフィクションは自伝を目指し、すべての自画像は他人の顔をしている。”
“かきあうこと、傷しあうこと、死にあうこと。「かれ」と「私」、その人称空間のよじれは経験と真実味との落差そのものだ。落差から、小説は来る。”――鴻巣友季子(翻訳家)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

りこ

4
小説家としてデビューした男は悩んでいた。この先何を書くべきなのか、書く価値のある小説とはどういったものなのか。男は自分のPCのフォルダに33の散文が入っていることに気づく。それは小学校の同級生のあべくんの遺した文章だった。男はあべくんの生涯を調べ、あべくんの読んでいた本を読み、あべくんの人生を書こうとする。他者の苦しみにもならない叫びを、外側で生きている人間が小説にしてすべて奪っていくことへの、ふざけんな、という怒りがこもっていて、このラストは抵抗であり批評でもあるなと感じた。読めてよかった。すごい小説。2025/11/12

Jun

2
読んでいる途中に色んな、別のことを考えてしまうから読むのに時間がかかった。集中ではなく他のことを呼び起こすものが中にあったからで、良い小説だったということだと思う。他者や語り語られという関係、物語というものその中に書くということ。私小説的な自分の自我と混ぜあって書くということ自体を考え続けるよな姿勢の小説で。もちろん町屋良平はずっと好きだったけど、これを読んだ後なら『私の小説』をもっと楽しめるし『生活』ももっと楽しめるはず。楽しんで良いのか?良いはず。とりあえず読むし書こうと思った。良いのか?2025/11/10

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