内容説明
いわゆる赤線、著者が描いてきた「抹香町」、玉の井やその他私娼街など、娼婦の街に生きた女たちの姿を、感傷を排して描く「娼家の灯」。
小田原をはじめとする西湘地域の時代的な変遷をたどった「西湘今昔」。
徳田秋声や宇野浩二ら長太郎が交友した作家たちの姿を活写する「面影」。
当時の社会への批評や自身の日常にまつわる出来事を綴った「週言」。
自らをもクールに見つめ容赦なく素材として使って描きつづけた私小説作家ならではの、感傷を排した筆致でありながら、どことなくユーモアの気配漂う昭和文士の文章の芸が様々な角度から存分に堪能できる、講談社文芸文庫オリジナル編集の傑作随筆集。
目次
目次:
1 娼家の灯
2 西相今昔
3 面影
4 週言
著者に代わって読者へ 川崎浩子
解説 齋藤秀昭
年譜 齋藤秀昭
著書目録 齋藤秀昭
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
hasegawa noboru
10
帯コピー文に「歿後四十年、初書籍化の名随筆集」とある。私娼街に通う私小説作家がいた。そんな昭和の時代があっただろうなとそれを知らない世代にもその思い出話を読めば分かるという程度にはフツーかな。「名随筆」とまでは言えるかどうか。「西相今昔」故郷小田原周辺の風景のこと。師友、徳田秋声、宇野浩二、中山義秀らの「面影」。晩年一九七九年七八歳時点での感慨のこと「週言」。一九八三年脳梗塞で倒れ、一年四か月の病院での闘病生活のあと死去。享年八三と年譜にあった。2025/11/17
Asakura Arata
4
箱根でこの本を読み終えた。近辺の地名がたくさん出てきて興味深い。歩くことで生まれた随筆。人生は歩くことそのものだなあ。2025/12/29
Shinya Fukuda
2
娼家の灯はルポルタージュ風で赤線の実態を知るのに貴重な資料になる。此処から小説になったものもあるわけで謂わば舞台裏とも言える随筆。西相今昔は筆者の生まれ育った小田原を中心とした地域についての随筆。郷土愛が感じられる。面影は徳田秋声、宇野浩二等の話。彼等に深く接した筆者ならではの話が書かれている。便覧では伝わらない作家の体温が感じられる。週言では時事問題について書かれている。その意見は嘗ては左翼だったにも関わらず至極真面なもので過激さはない。苦労人だけあってマスコミに流されない自分の意見を持っているのは流石2026/02/25
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