内容説明
おとなになるまで診断も支援もされなかった二人の、苦難と、希望と、生きる道――
おとなになるまで診断も支援もされなかったASD当事者は、自閉スペクトラム特性と人それぞれの成育歴・家族歴・経験が複雑にブレンドされた生きづらさを抱え、ひとり闘ってきた人たちでもある。
本書に登場するのは二人の架空のASD当事者、斉木勝と野島華子。長きにわたる二人のストーリーを、当事者目線と専門家目線で細やかに読み解く。当事者が生きている世界観、専門家の基本姿勢やカウンセリング技法だけでなく、ジェンダー、スティグマ、カモフラージュ、トラウマ、医療モデル/社会モデルなど、ASDの支援に欠かせない知識を解説する。
ASDの診断概念や支援技法がコンパクトにレビューする補論「自閉スペクトラム症を理解する」を付した、事例×解説でまなべるASDケアガイド。
目次
◆第I部 斉木勝さん
第1章 半生
第2章 事件
第3章 怒りと拒絶
第4章 転機
第5章 復讐
第6章 押し寄せる問題
第7章 再開=再会
第8章 進展
終章 自分のままで
◆第II章 野島華子さん
第1章 足跡
第2章 苦悩
第3章 カウンセリングが始まる
第4章 揺れる治療構造
第5章 カウンセリングが動き出す
第6章 母のとまどい
第7章 アイデンティティ
第8章 家族面接
終章 ほどかれた呪い
◆補論-自閉スペクトラム症を理解する
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まあ
0
お父さんとお母さんのこと、傷つけたかな?と聞く野島華子の言葉がつらい。ASDは人の気持ちがわからない、と言われているけれど、この言葉からもそんなことはないとわかる。男性・女性両方の話が読めて勉強になった。登場するカウンセラーさん、こんな人と話をしてみたいな。2025/11/29
キャラ
0
はじめの斉木さんの件は、毒親のせいではある。親の与えた悪しき価値基準は強力。支配観念と他責思考は顕著な症状かもしれないが、偏見と価値観の骨を抜いたとき、自閉症の枠組みに収まるものなのか、文字情報だけではあまりにも判断できない。そもそも先天的なのか後天的な性向なのかも。あと、対話前に「○○障害が原因かもしれないです」といきなり言えば激昂する人もいると容易に想像できることをしたり(それが斉木さんの精神不安定さらに助長してない?)、斉木さんの子どもまで発達障害という、遺伝性もあえて印象的に盛り込むのはやりすぎ。2025/09/03




