内容説明
関東各地の自動販売機から、血のついた五千円札が相次いで発見された。同じ頃、増水した川で原発取材をしてきたジャーナリストが死亡する。事故なのか、他殺なのか……フリーライターの木部美智子が取材を進めると、二つの事件に思わぬつながりが見えてくる。その先に待ち受けていたのは――忘れられた過去と幾層にも重なった謎を解きほぐし、百年に及ぶ人間の業を描いたシリーズ最高傑作。(解説・千街晶之)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
けんけんだ
16
雑誌記者「木部美智子」シリーズ第3段。1作目のドラマの吉岡里帆を思い浮かべながら読みました。閉ざされた集落の人達の三代に渡る壮大な事件でした。素晴らしい作品です!2025/11/19
coldsurgeon
8
木部美智子シリーズ第6作。事実を丹念に追い続けるフリーライター木部美智子にとって、今回の物語は、絡み合った地下茎を丁寧に解くような旅であった。複雑に絡み合う人間模様の奥から第二次世界大戦終戦直後の満洲での戦禍の凄絶で哀しい記憶が生み出した事件群が描き出された。人は自分が理解するのに都合のいい事実を切り貼りして物語を作るけれど、切り捨てられた事実にも、同じだけの価値と背景があることを、気づかされたのだ。2025/10/22
めがねおじさん
1
老舗の社会派週刊誌の看板記者であり、フリーのジャーナリスト木部美智子を主人公にしたシリーズ第六作。作中で「気の強い、冷静で、何ものにも流されない、鋼のような女」と表現されている主人公。今作でもその資質を如何なく発揮、複雑に絡み合った事件を解き解していく。それは70年以上に及ぶ壮大な人間模様となり、圧巻の物語が展開される。読み始めからグイグイと引っ張られ、見事な謎解きのラストへ。史実を克明に踏襲しており、リアルそのもの。久しぶりに読み応えのあるミステリー。まあ25年前の真犯人はちょっと無理があるのが難点か。2025/11/15
ぱーぷる・ばんぶー
0
木部美智子シリーズ第6弾。関東一円で発見される血染めの5千円札から始まり、25年前の愛媛県での殺人事件、川の増水で死亡したジャーナリスト。これらがどのようにつながっていくのか、というところから満州での開拓民の話へとスケールの大きなミステリーだった。2025/11/04
めだか
0
初作家さんです。途中、読まない時間もあり、読了まで時間かかりました。 作品は時間軸が長いにもかかわらず、しっかりした内容で読み応えありました。全く飽きることもなく、最後まで面白く読めました。他の作品も読みたくなりました。2025/12/23
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