内容説明
雪の夜、木挽町の芝居小屋の裏手で、菊之助なる若衆が果たした見事な仇討。白装束を血に染めて掲げたるは父の仇、作兵衛の首級(しるし)。二年後。目撃者を訪ねる武士が現れた。元幇間、立師、衣装部屋の女形……。皆、世の中で居場所を失い、悪所に救われた者ばかり。「立派な仇討」と語られるあの夜の〈真実〉とは。人の情けと驚きの仕掛けが、清々しい感動を呼ぶ直木賞・山本周五郎賞受賞作品。(解説・中島かずき)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
geshi
25
読後にスッと背筋が正されるような気持ちの良い小説。仇討の真相を軸にしたミステリ仕立てではあるが途中で真相は察せてしまう。しかしそれは瑕疵ではなく、結末へ向かうための地固めをしっかりと感じ取れる物語の強さがある。章ごとに語り手も語り口も変えて、それぞれの人生の浮き沈み・喜びと悲哀が描かれる1つのエピソードとして成立しながら、全体を通して悪所と呼ばれ芝居小屋に救われた話になっていいる。世の仕組みに雁字搦めになった人間が強かに生き抜く道を示し、世に胃と泡吹かせようとする心意気が江戸って感じ。2025/10/05
numno1
10
直木賞受賞作。木挽町の見事な仇討ちに何やら疑義を抱く主人公が、仇討ちの目撃者である木挽町の芝居小屋の面々にインタビューするという体のミステリ小説ではあるのですが、芝居小屋の面々がインタビュー内で語る各々の半生の部分こそがメインという感じで、江戸中期の庶民の暮らしや人情の生き生きとした描写が読み応えあり、なるほど感ありで素晴らしかったです。2025/10/11
通りすがりの本読み
10
2年前に芝居小屋の裏で起きた見事な仇討ち。一人の武士が目撃者たちの証言と生い立ちをきいて回る形式で話が進む。話が進む毎に仇討ちの真相が明らかになり一つ一つの話が繋がり「武士」の一世一代の大芝居「仇討ち」へ。芝居小屋の人たちの優しさと温かさにグッとくる。久々に読後感のよい本に巡り会えました。2025/10/06
俊
8
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎ 第三幕あたりで結末が想像できたが読後感は爽やかで良い2025/10/10
ギブソン
6
久しぶりの時代もの。 江戸下町のしゃべり口調がなかなか慣れないけど、それを上回るストーリーの面白さに一気読みでした。 あだ討ちの目撃者が各章で語る話が魅力的で、よくできた短編集のよう。そしてそれが最終章で繋がる構成が見事。 とても爽快な読後感のある良作だと思います。2025/10/13
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