内容説明
雪の夜、木挽町の芝居小屋の裏手で、菊之助なる若衆が果たした見事な仇討。白装束を血に染めて掲げたるは父の仇、作兵衛の首級(しるし)。二年後。目撃者を訪ねる武士が現れた。元幇間、立師、衣装部屋の女形……。皆、世の中で居場所を失い、悪所に救われた者ばかり。「立派な仇討」と語られるあの夜の〈真実〉とは。人の情けと驚きの仕掛けが、清々しい感動を呼ぶ直木賞・山本周五郎賞受賞作品。(解説・中島かずき)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
セシルの夕陽
65
あー、面白かった! 決着の予想はついたが、そんなことは些細なこと。江戸後期、芝居町の木挽町であった仇討ち。国元から江戸へ来た菊之助が、父の仇:作兵衛を斬った事件。2年後に詳細を検証したいと来た武士。その武士に、仇討ちの様を5人の語り部たちが証言する。武士の道を貫く人、武士を捨てた人、身分が低いとされた人。それぞれの人生物語も話を盛り上げる。人外・悪所といわれていた芝居町が、敷居が高い歌舞伎へとつながり、梨園と呼ばれ一目おかれている昨今も興味深い。何度か目頭が熱くなった、清々しい読了感✨ 直木賞受賞作⭐️2025/11/12
エドワード
63
江戸幕府は父や兄など尊属を殺害された場合のみ、仇討ちを公認していた。仇討ちは届出制で、事が成った時は現地の役人の検分を経て、仇討ちと認められた。仇討ちが成就しない限り藩に帰参できない決まりであった。そこで、物語。木挽町芝居小屋の裏手で仇討ちあり。伊納菊之助が父の仇、作兵衛を斬る。二年経ち、ある武家が芝居小屋・森田座の面々に話を聞く。木戸芸者の一八、殺陣師の与三郎、裁縫師のほたる、小道具の久蔵、戯作者の文治。あの仇討ちは不自然、出来すぎている。大江戸ミステリーの開幕だ。作兵衛は何故菊之助の父を斬ったのか?2025/11/07
yamatoshiuruhashi
57
芝居小屋の立ち並ぶ中で仇討ちがなされた。本懐を遂げた若武者は仇の首級を高々と掲げたのち走り去る。その読売を扉に始まる本作。ある武家が江戸に出てきて、芝居小屋の5人の面々にその仔細を尋ね回るという趣向で話が進んでいく。一体話は何処へ行くのか、なぜミステリ関係の受賞作なのか分からぬままに3人分を読み進めた。それはそれで中々面白い話であるが、どうも話には裏がありそうだと思う反面、何故この武家はこうもしつこく個人の来し方を聞かねばならぬのか。それが5人目の話で裏がわかり、終章に収斂していく。面白かった。2025/11/24
ペグ
51
死んだら皆、骨になる〜。だからこそ精一杯生きる。軽く感じる話し言葉の中に潜む人生の諸々。すとん!と腑に落ちる最後❗️人情味あふれるこの小説、すごく良かった❗️2025/10/17
RRR
48
僕は時代小説は読まない方です。でも単行本が出た当時、賞を取ったということで、興味を持ったのです。それ以来の再読。時代小説に馴染みがない人でも、きっと楽しめます。ミステリー仕立てで進みますが、真相が明かされた時、後から涙が溢れて、胸が張り裂けそうになったほど。何という切ない真相なのか、と誰が読んでも落涙するんじゃないかしら?○○の矜持が素晴らしいと思う。心に残る時代小説、あなたも読んではいかが?2025/10/17
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