内容説明
結末に涙する、仕掛けに満ちたひと夏の物語。
ノイズに溢れたこの世界で、
「大人になる」とは一体どういうことなのだろうか。
「子どもの土地」で永遠の子どもだった「その子」は、心に曇りが生まれ、ある日飛べなくなってしまった。だから、地上に堕とされた……自らの代わりとなる子を一人、連れ去るために。
夏休みの始め、青森のボーイスカウトで、スナメリが座礁した熊本の海岸で、埼玉から繋ぐオンラインゲーム内で、悩める子どもたち3人に奇妙な出会いが訪れる。いなくなる子は、誰なのか。自由と不自由のあいだでもがく少年少女、それぞれの決意とは。
誰もが経験し、忘れてしまう、「あの頃」の怒りと光にいま向き合う。
意外なその結末にきっと涙する、仕掛けに満ちたひと夏の物語。
最後の2行に込められた意味を
理解できる「大人」でありたいと思いました。
……青山美智子氏
人が生きる底の底から、子どもという存在を見詰めれば
こんなにも不思議で美しく、残酷な物語が生まれる。
……あさのあつこ氏
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
シャコタンブルー
52
「大人になるって、どういうこと?」「みんな望んで大人になるの?」子供の真摯な疑問にどう答えたらいいのだろう。嘘や欺瞞が蔓延る大人の世界に辟易している子供たちには楽しい未来が想像できないのかも知れない。キャンプ、水族館、ゲーム等で夏休みを過ごす小中学生だが、楽しさだけでなく思春期の孤独や不安が影を落としている。彼等の絶望感の原因は何だろう・・ミステリーのような構成と鮮やかな展開で一気読みの面白さだった。友情、恋愛、希望そして残酷な現実が混ざり合う素晴らしい青春小説だった。2025/10/08
よっち
20
ノイズに溢れたこの世界で大人になるとは一体どういうことか。孤独や不安を抱えている子どもたちが、大人になる瞬間を描くひと夏の物語。心に曇りが生まれ飛べなくなってしまった「子どもの土地」の子供が、代わりとなる子を一人連れ去るために、青森のボーイスカウト、スナメリが座礁した熊本の海岸、埼玉から繋ぐオンラインゲームで、悩める子どもたち3人と出会う展開で、誰もが「いなくなる子」になり得る危うさを孕むからこそ、彼らの出会いや選択が効いていて、自らの感情を他者に向けることができるようになった姿に確かな成長を感じました。2025/10/06
信兵衛
19
本ストーリーとしては、冒頭に登場した子どもは誰なのか、本当に子どもを連れ去るのかという点が、ミステリ風味。 ただ、それは割と簡単にわかるように思いますし、子どもたちそれぞれの物語に充分読み応えあり。2025/10/04
kosmos
17
言葉を話す子ガラスが「大人の土地」からやってきた子どもを、歳をとらない子どもたちだけで暮らす「子どもの土地」導く。そんなファンタジックな雰囲気で物語が始まり、その後は3人の子供たちの夏休みが描かれる。友達とうまくやれなかったり、お金に困っていたり、ずっと学校に行っていなかったり…心に痛みを抱えながら過ごす中でそれぞれに出会いが訪れる。子ガラスが最初に言っていた8月25日に何が起こるんだろうと気になりながら読み進めた。最後のシーンの選択が、良い方向に向かうことを願っている。2025/10/15
おうさま
4
初水庭作品 3組の子供たちの、ひと夏の成長物語 子供のままでいたい気持ちと、大人になることへの不安や期待、大変さが、3組の物語を通してひしひしと伝わってきた 最後の”きよか”の告白にはちょっと驚かされました ”海璃”のことがとても心配です2025/09/12
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