内容説明
気力を喪うひと、生きる理由が分からなくなるひと、
そして惑う母、辛い父に捧ぐ、
懐かしくて真っさらな日本人の物語
時は、たった今の令和の時代への渡り廊下のような一夜。
平成の終わりだけが告げられ、次の時代が令和となることはまだ分からないという平成29年、西暦2017年の12月だ。翌々年の5月には令和の世となる一歩前である。
場所は古都の没落した家、そこで始まった何気ない夜に、百年を見渡す物語が、思いがけず隠れていた。蔵の財産をすべて捨てるというユニークな直接行動をとる祖母が、ほんとうは日本人と日本社会の闇と格闘する日々を重ねてきた。それを29歳、みずからも苦しみのただ中に居る男子の手で明らかにする姿を、意識の流れと呼ぶべき手法も用いて劇的
に、哀切に、そして平易に、語り尽くす。
深まる闇の時代を一体どうやったら生きられるのか。
胸に染み入るその答えがここにある。
百年を見渡す日本にしかない物語。
待望の文庫化!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
niisun
24
せっかく物語は悪くないのに、冒頭で著者自らが、如何にも政治家らしく垂れている御高説に興醒めです。著者曰く、本書の元となっている『夜想交叉路』が読書力を求める小説だから、読書力の衰えた現代人のために簡単に書き直したとのこと。また、自著のように方法論を追求している物語文学も読むべきと東大生に講義で語っているとか。確かに方法論としては、物語を面白くする要素として、数世代に亘る大河的物語、複雑な生い立ちや人間関係、自在に行き来する時間や空間などがあるけど、そんなもの読む前にいちいちご説明頂かなくて結構ですよ。2025/10/22
抜け忍1号
4
平成29年12月という“令和直前”の一夜を舞台に、京都の没落旧家で起きた出来事を通して百年を見渡す日本人の物語を描く小説。昨年の12月に『夜想交叉路』を読んでいるので、前よりはすんなりと話に入り込めた。祖母が蔵の財産をすべて捨てる行動の背景には、日本社会の闇と向き合ってきた人生があり、それを29歳の青年が「意識の流れ」の手法で明らかにしていく。深まる時代の不安の中で「どう生きるか」を静かに問いかける作品。文庫版では青山氏のまえがきと花田編集長のあとがきが追加されているが、花田氏のあとがきが非常に良かった。2026/04/16
乱読家 護る会支持!
3
青山繁晴さんが、小説『夜想交叉路』をよりやさしく描き直したもの。 僕は、小説を読むと、自分の過去の体験と重ね合わせてしまったり、一番気になっていることと結びつけてしまう傾向が強い。 今回、本書を読んで僕が思ったことは、、、、 人は自分勝手で、自分の行動を正当化しようとするし、他人の気持ちを自分勝手に決めつける存在である。 とりわけ「性」については、その傾向が一層強くなる。 自分の欲求やそこからくる行動を、「相手のためになること」と正当化し、相手を傷つけていることに気づかないものである。 2025/11/05
pati yayan
0
舞台を京都にしているせいなのか、作者の書きっぷりがそうなのか、内容に比してなんとなくほんわりした読み心地に。結局、長靴はどうなったんだろう。2025/11/04
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