内容説明
書評家 藤田香織氏おすすめ!
「〈子どもは、自分のいる場所を選べない〉という容赦のない事実に、木地雅映子が魔法をかけた――。心の中にローズ先生がいる頼もしさ。さあ行こう。私たちの秘密のはらっぱへ」
秘密の〈魔法使い〉だった先生との
思い出が、今、わたしを支えてる。
長谷川はんなが通う寒々しい保育園に、突如やってきた黒原ローズ先生。彼女は先生、ときどき魔法使い!? その後9年間、はんなを力づけ続けた〈魔法〉とは? 〈本好き〉にこそ読んでほしい、じんわり心ふるえる物語。
名作『氷の海のガレオン』、話題作『ぼくらは、まだ少し期待している』の著者による、待望の書き下ろし長編。
【目次】
ローズ先生
トム・ティット・トット
こどものとも
サミール
パンチング・ギル
穴
光る本
旅 客
魔法の夜
Hannah
蝶々の渡り
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
hiace9000
101
はんなの通う保育園は施設管理も保育管理も生き届かず管理職のパワハラまで横行するブラック保育園。中学生となったはんなの回想記億視点で物語は進む。周囲より大人びたはんなは、園にも家庭にもなじめず孤独を感じている。新たに着任し担任となったローズ先生は、不思議な〈魔法〉ではんなを受け止め、支えていく―。子どもの頃の繊細で鋭敏な感性とファジーな記憶を見事再現し、惑いや痛みや孤独を肌感で伝える描写は頗るリアル。地に着いた現実と切ない空想のあわいの描きは一見幻想譚にも思えるが、さにあらず。現代版『銀河鉄道の夜』なのだ。2025/09/02
ゆみねこ
66
長谷川はんなは保育園児。園長も副園長もこどもたちに向き合うこともなく、若い先生たちはすぐに辞めてしまう寒々しい保育園。そこに突如やってきた黒原ローズ先生。はんなを理解し守ってくれたローズ先生がかけた魔法とは?9年ののちにはんなが気づいたことは…。木地雅映子さん、初読み。2025/07/31
はる
48
長谷川はんなが通う保育園はいわゆるブラック保育園。施設は古く、高圧的な園長と副園長姉妹のせいで先生たちは次々と辞めてしまう。だがそんなある日、風変わりな「ローズ先生」がやってきて世界は変わっていく…。はんなの一人称で語られる物語はどこまでが現実で、どこまでがはんなの空想なのか分からない。確かなのは、愛に飢えていたはんなにとって、自分を守るために必要なことだったのだ。成長し前に進み出すはんなが清々しい。2025/09/12
よっち
24
通園する保育園に寒々しいものを感じていた長谷川はんなが、突如担任としてやってきた黒原ローズ先生と出会う物語。施設もおもちゃも本もボロボロで、先生もすぐに辞めてしまうブラックな保育園。保育園の空気を実感しながらも、最後まで預けられ本を読んでいるしかなかったはんなが、ばら組の担任になったローズ先生と運命の出会いを果たす展開で、子どもをきちんと子どもとして扱い、時には厳しく時には守るべき存在として扱うローズ先生には不思議なパワーがあって、過酷な環境が浮き彫りになるはんなを導いてくれた先生には救われる思いでした。2025/08/05
さとみん
10
最初は保育園児の視点で始まったことに面食らった。さらに過去と現在が混在しているような語り口に、どこまでが“物語の中の現実”なのか、手探りで読み進めることになる。ただ子供たちを取り巻く環境の厳しさが、大人たちの余裕のなさの裏返しであることに胸が痛んだ。木地さんの描く物語の切れ味は相変わらずだが、主観フィルターの外された最終章で「これは最初から最後まで“物語”だったのか!」と驚かされた。願わくば生きるための物語を必要とする人にとって、一番支えが必要な時にこの物語が届きますように。2025/09/15
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