大学生が伝えたい 非正規公務員の真実――現場から見る課題と未来

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大学生が伝えたい 非正規公務員の真実――現場から見る課題と未来

  • ISBN:9784750358840

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内容説明

教員・図書館職員・相談員など、日本の市区町村の非正規公務員割合が4割を超え、ワーキングプア化する中、この問題の第一人者である著者が、所属大学のゼミ生とともに現場取材を重ね、問題の解決に向けて考える。第一線のジャーナリストによる寄稿も収載。

目次

プロローグ:「書くという行為」について
はじめに
第1章 児童相談所――児童虐待に挑む現場第一線は非正規公務員[守田優也]
非正規公務員に支えられる公共サービス
児童相談所のリアル
ジョブ・ローテーションと非正規依存の児童相談所
虐待のおそれのある家庭を見守るという現場
今後の日本を支える福祉に求めるもの
指導教員から一言
第2章 教員の質が担保されない教育現場[櫻井晴菜]
臨時的任用教員の実態
初任者研修
襲来する教員不足時代
教育現場がブラックな背景
おわりに:『「教員不足」への対応等について』の考察
指導教員から一言
第3章 公共図書館の非正規公務員[佐藤千花]
脅かされる非正規図書館員の雇用
選ばれて非正規化した図書館
見過ごされるやりがい搾取
図書館は民主主義の砦
現場の生の声から学ぶ
指導教員から一言
第4章 女性を支える女性の非正規公務員──女性相談支援員、男女共同参画センターコーディネーター[上林陽治]
困難を抱える人をおいて、逃げない
女性相談支援員の置かれた状況
PSMと処遇のアンバランス
男女共同参画センターコーディネーターの場合
軽んじられる男女共同参画事業
専門性を蔑ろにする男女共同参画行政/寅子の叫びはいまも響く
コラム1 スクールカウンセラー大量雇止めから考える公共サービスの崩落[藤田和恵]
第5章 ハローワーク相談員 声をあげる非正規公務員当事者たち──雇止めされる恐怖に抗して[秋田谷和哉]
ハローワークの中の人の試練
雇止めハラスメント
現状変化を求め市民運動団体を創設
指導教員から一言
第6章 ある相談支援員の自死から考える[山田優月]
非正規公務員であった1人の女性の生涯
裁判では聞き入れられなかった両親の主張
非正規公務員のハラスメントの実態
専門職として働く非正規公務員が有期雇用であることの弊害
人権侵害
指導教員から一言
コラム2 非正規公務員問題とマスコミ[畑間香織]
特別寄稿 地方紙で非正規公務員問題を追いかける[竹次稔]
結びに代えて
エピローグ:「世間」ではなく「社会」にむけて発信する

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

とよぽん

52
非正規公務員、初めて目にする人もいるだろう。小泉政権の時に派遣社員、契約社員、非正規社員、など労使関係の根本を改悪する政策が施行された。雇用側は人件費の大幅削減、使い捨て労働力が安く獲得できて笑いが止まらない。民間企業に限らず、財源不足の行政や公的機関でも、1年間限定の会計年度任用職員で現場の多くの業務を回している。学校現場にも期間限定の臨時教職員が結構いる。しかも、正規教員とほぼ同じ仕事をしている。これは、大学生の取材・調査によって実態が明らかにされた1冊。日本のこの先が怖い。人権も未来も・・・。2025/08/09

クリママ

47
「非正規公務員のリアル」などの著書のある上林陽治教授のゼミの学生のリポート。学生だが、文章は読みやすく、切り口も鋭い。地方自治体の公務員の半分以上が非正規雇用。児童福祉、教員、司書、ケースワーカー、生活保護、職安職員など、3年で移動のある正規職員ではなく、見守り、時間のかかる主に女性の専門職。だが、熱心によい仕事をしても、昇給、残業手当はなく、雇止めがあり働き続けられる安心感もない。人事権は正規職員にあるため、改善を言えず、パワハラを受ける。そのような実態に驚き、よい人材を使い捨てる仕組みを改善を願う。2025/09/29

カメハメハダイオーイカ

11
統計によると図書館司書は非正規職員の割合が76%に及ぶと言うことで、専門職でありながらも薄給かつ不安定な立場での労働を余儀なくされている。私の知り合いの司書も素行不良でないにも関わらず理不尽な雇い止めの憂き目にあっている。またハローワークの職員ですら非正規職員が多いと言う事実に唖然とした。その他児童相談所の相談員やスクールカウンセラーなんかも非正規職員が多く、専門知識のない正規の一般公務員からパワハラを受けていると言う。何かがおかしい。この国の行く末が心配になってきた。2025/07/15

ぐみ

3
大学のゼミ生が各章を担った、各種非正規公務員の実態について。良くも悪くも若々しい文体に、ゼミ生たちの「社会に届いてほしい」という思いが滲み出た。相談員として働いていた森下佳奈さんのパワハラ自死問題。恐れながら不知だったが、本書を通してこの国の課題と言わざるを得ない「非正規にソーシャルワークの実務部分を依存し続けている現状」「非正規の人権問題に自覚的でない社会」を知ることができた。2025/05/14

Go Extreme

2
公務員の3人に1人が非正規職員 年収水準が約200万円程度 専門性の継続性 不安と孤独の中で教員生活 正規教員の定数調整弁 民主主義の砦としての重要性 非正規職員の低待遇が文化の軽視 正規職員と同様の業務を行う 会計年度任用職員制度 自死に至った悲劇 公務災害の申請さえ困難 立場的な弱さがハラスメントを助長 感情が麻痺する被害者 非正規職という呼称の不当性 3倍ルールの非効率 世間ではなく社会に向けて発信 声なき声を伝えたい 個人名で呼ばれない 代替可能な存在として扱われる 公共サービスの質の維持2025/04/08

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