岩波文庫<br> ミーチャの恋・日射病 他十篇

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岩波文庫
ミーチャの恋・日射病 他十篇

  • ISBN:9784003264911

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内容説明

「文字通り貫かれたのだ.この恐るべき日射病に,甚だしい愛に,甚だしい幸福に!」――亡命ロシア人作家イワン・ブーニン(1870-1953)は人間を捕らえる愛の諸相を精緻な文体で描いた.見知らぬ女性との一夜の記憶が鮮やかさを増す「日射病」,初恋の歓喜が嫉妬の情に蝕まれていく「ミーチャの恋」など,珠玉の中短篇集.

目次

日射病
イーダ
最後の逢引
明けのいなづま
古い港
愛の文法
見知らぬ友
夜の海で
聖者たち
命の盃
きょうだい
ミーチャの恋
訳注
訳者解説

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Pustota

5
初ブーニン。儚くつかみどころのない愛が、深く人の心を揺さぶる様を描いたような作品が多い。詩的な文章が印象深く、個人的には愛や恋をこれほど切実に感じる作品はそうないと思う。一方で空虚さや冷たさが覗く一面もあり、内面を掘り返されるようなそら恐ろしさも感じた。久しぶりにじっくりと味わうような読書をした気がする。解説も結構詳しく、ユニークな視点もあり面白かった。2025/07/26

Moish

4
『日射病』が好きだったので、他11編も含めて文庫になって嬉しい。表題作2作と『命の盃』がことのほか素晴らしく、スリランカが舞台の『きょうだい』はイマイチだった。ただ本当の収穫は、端的にまとめられた訳者による解説。「遅れてきた自覚」というキーワードをはじめて目にし、すこぶる納得。執拗な自然描写が人生を描くことの根幹であること、亡命作家ならではの悲哀や望郷、仏教への関心、チェーホフとの比較、日本の文学作品との共通点など、この解説を読んだあと全作品を読み返せば、さらに理解が深まりそう。2025/08/12

TT

4
★★★☆☆湿度が高く情緒的。全12篇、一生をかけた恋の話が多く、連続して読むとやや土くさく感じます。少しドライな「見知らぬ友」「聖者たち」が好印象でした。2025/08/11

nightowl

3
主題はあるのだけれど、余りにも自然描写が瑞々しくて霞んでしまう。名画を前にしてしばし見惚れる気分。詩的な部分を汲み取った訳文も非常に上手い。社会を切り取ったものでも実に優雅な表現。チェーホフ「桜の園」を思い浮かべると、そのように華やかで浪漫のある時代が去った諸行無常さが伝わる。亡命した故郷喪失者の悲しさが背景として滲み出た一冊。2025/08/06

0
ブーニンの小説は独特で、ネチネチした情景描写に圧倒されてしまい読みづらい。ミーチャの恋と夜の海でと聖者たちが好きだったかな。2025/07/22

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