内容説明
「いつかは書かなくてはならないね.これを見た作家の責任だもの」広島で被爆した大田洋子(1903-63)は,その体験をもとに原爆を告発する作品を多数著した.人や街が屍と化した原爆投下直後の惨状を記した『屍の街』,原爆に人生を壊され戦後八年を経てなお苦しむ人々を描いた『夕凪の街と人と』を収める.解説=江刺昭子
目次
屍の街
『屍の街』序
夕凪の街と人と――一九五三年の実態――
解説(江刺昭子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
36
取り急ぎハコモノは造るが真に必要とする人に救済が届かないのは今も尚。被爆者として、被爆した作家として、そして女性作家として幾重もの枷にもがき苦しんだ人生であったと、本編だけでなく巻末の江刺昭子氏の解説でも知った。作家と江刺氏の関係性にシビれる。2026/07/30
Shun
35
戦後80年のこの夏に新たに岩波文庫に加わった大田洋子による原爆小説。戦後の言論統制や文壇のジェンダーの偏りといった社会環境のおかげで長い期間に渡り正当な評価を受けることができなかったという不遇の作家。原爆投下時には広島で暮らしおり、投下直後のその惨禍を直接目にした著者は筆舌に尽くしがたい原爆が与えた残虐的な光景に対し、作家としての使命であるかのように目を背けずありのまま見たことを筆に起こす。人々がその身に受けた凄惨な被害についての記述は酸鼻を極める内容だが、これが現実なのだ。決して埋もれさせてはならない。2025/09/09
ケイトKATE
24
〈『夕凪の街と人と』の感想〉原子爆弾投下から8年が経過した広島の街と暮らしている人々の様子を描いている。焼け野原となりながらも、広島の街は復興しているように見えるが、未だに広島の人々には、被爆の後遺症や生活の苦しさなど傷が大きく残っていた。後半に登場する被爆した人を医師が診断する場面は、読んでいて辛いものがあった。戦後80年を迎えた2025年、大田洋子の作品を読んで、原子爆弾によって起こされた想像を絶する破壊を二度と起こしてはならないと確信した。2025/08/30
ケイトKATE
22
〈『屍の街』の感想〉終戦から80年、この岩波文庫で大田洋子を初めて知った。『屍の街』は、広島に原爆投下された直後に執筆されたこともあって、被爆した広島の街や被爆した人々の証言は生々しく臨場感がある。特に、原子爆弾が落ちた直後に発した光が青いと表現されているが、私が知る限り他の本や映像作品では見なかった表現であり、被爆の記憶が鮮明に残っているからこそ得ることができた証言ではないだろうか。『屍の街』は、被爆した広島の惨状を記そうとする大田洋子の使命感が伝わってくる。2025/08/30
まさ☆( ^ω^ )♬
8
戦後80年だった2025年に岩波文庫に加わった本書、一年遅れで気付き早速読みました。『屍の街』は、原爆投下直後の広島の惨状が克明に書き記されている。『屍の街』は、終戦から8年が経過した広島の過酷な現実が描かれている。2作品ともドキュメンタリー性の高い小説で、戦後生まれの世代には想像を絶する戦争の悲惨さが良く分かる。多くの人に読んで貰いたい一冊。世界では未だに戦争が無くなる気配すらない。こういう作品は世界が平和になるまで読み継がれて行くべきだと思う。2026/07/26
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