内容説明
夏休み最初の一週間,ぼくはいやいやキャンプに参加することになった.大量の蚊,ハイキング,工作……ジゴクだ!イェルクへのいじめが気がかりながら何もできず葛藤するうちに,毎晩夢にオオカミが現れて…….理屈っぽいぼくと気の優しいイェルクが,互いを思いやり友情を育んでいく.2024年ドイツ児童文学賞受賞作.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.
目次
1 どうしてキャンプ場のパンフレットには,
トゲやダニについての説明が,まったくないのか?
2 小さなグループに分かれて,ほかのグループの悪口をいう
3 なにかを絶滅させられるとしたら,なにがいい?
4 仕方なく,ここに
5 イェルク
6 ハイキングにいく
7 キャンプファイヤー
8 黄 色
9 がんこ頭
10 スケッチの時間
11 クライミング体験コース
12 森を走りながら,ぼくが認めなくちゃいけないこと
13 料理人がゴボッと吐く
14 リュック
15 怒り――オオカミ
16 ベアーテ
17 森のサマーキャンプの最後の数時間は
訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
洋書好きな読書モンガー
25
旧ユーゴスラビア内戦でドイツに移住したボスニア・ヘルツェゴビナ出身女性作家の児童文学賞受賞のYA小説。親が休みじゃ無い夏休み米国の定番サマーキャンプ、ドイツでもあるんだ。サマーキャンプに行きたくなかった僕の1週間。いじめられっ子と同室で過ごし傍観者でいるうちに少年の心の中にオオカミ🐺(怒り?)が育っていく。イジメ、差別をテーマとした小説。作者も移民として色々経験したんだろう。最後にいじめっ子も旧ユーゴからの移住者とわかる。ドイツで主流では無い東ドイツ出身の料理人やブルガリア出身の体育教師が理解者↓2025/12/10
菱沼
4
リアルな問題をとりあげながら、幻想との境が曖昧なところが不思議な魅力となっている。海外での子どものサマーキャンプというのは、嫌な子は本当に嫌なのだろう(チャーリー・ブラウンもそうだった)。リアルと幻想の間で、何も言わずに主人公の味方となる大男の料理人は『シャイニング』のハローランを思わせた。主人公とイェルクの意識に働きかけるオオカミは幻想の生き物なのだろうと思うけれど、定かではない。終盤に登場する森番の女性のように。不思議な物語。けれど、大切なことが示唆された気がする。2025/09/22
霧雨
1
理屈ばかりこねくり回すけど、臆病で傷付きやすくて寂しがり屋。そんな本性を隠したくて余計に可愛くない事ばかり言って回る。正義感と小心の間を行き来する心情が、懐かしく愛おしい。コミカルな挿絵が、全体の雰囲気を和らげていて良い感じ。2025/10/17
gero
0
キャンプ;夜の鳥;理屈屋;いじめ 心ならずも参加させられたサマーキャンプ。バカな大人たち、いじめっ子にいじめられっ子そして流されていくはぐれ者の自分。たまる一方の鬱屈は夜な夜なオオカミとなって心の圧力弁をガタガタいわせます。スプラッタ展開の必要十分条件が揃っていますがそんな劇的な方には向かいません。どころか成長も友情も変化もさりげなくしか起きません。バカな大人はバカなままでいじめっ子も意地悪なままでほんのちょっとの進展が描かれるのでオオカミの出る幕はありません。→ 2025/11/28
takao
0
ふむ2025/11/06




