内容説明
社会主義国の古本屋では、良い本は店頭より奥にしまい込んである。店主と打ち解け、バックヤードに入れるかどうかで勝負が決まる――
戦後第1回目の交換留学生としてプラハに降り立ったときから10年間、古書を探さない週はなかったという言語学者が、本と出逢う喜び、愛すべき店主たちとの交流をユーモラスに語るエッセイ。
〈解説〉阿部賢一
目 次
Ⅰ 沈黙の通訳
沈黙の通訳
その一語
壁
島
魚
スライムの終焉
津波のロンド
英語夜話
チェルニー博士訪問記
小さなバイリンガリストたち
Ⅱ プラハの古本屋
共産圏の古本屋・1
共産圏の古本屋・2
共産圏の古本屋・3
プラハの古本屋
続・プラハの古本屋
ほろ苦い喜び
ストラホフ図書館への招待
辞書との縁
チェコの匿名辞典
チャペックのコロンボ風探偵小説
もっと長い長いお医者さんの話
古本のプラハ・87
三つのミニコレクション
Ⅲ カルパチアの月
アドリアの海から
ワルシャワの秋
沖縄の熱帯魚
雨のプラハ
ウィーンの四日間
カルパチアの月
初出一覧
あとがき
解説
「古本」との新たな出逢い 阿部賢一
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
106
タイトルに惹かれて。出てくる本は難しくてよく分からなったけど、異国情緒、本への情熱、古本探しにワクワクでした。 2026/02/24
たま
96
スラブ語研究者の千野栄一さんの随筆。プラハの思い出、古本探索、東欧の旅行記から成る。古本の話はスラブ語学関係の私の全く知らない本が中心で、千野さんがそれと巡り会った喜びはもう一つ良く分からない。しかし出版点数が少なく、発禁処分もある統制経済化の国で書籍を探す難しさはしっかり伝わってきた。ベルリンの壁崩壊以前の、1970-80年代の東欧、生活は不便なことが多かったと思うが、古本を探して古い町並みを歩き、ビールやコーヒーを飲む、旅は列車でゴトゴトと...ゆったりした時間が楽しい。⇒2026/03/11
アキ
94
プラハにはいつか行きたいと思っていたが、本屋で見かけたこの本を読んで旅行気分を味わえたらと、手に取った。著者は、スラブ語学の権威だけあり、社会主義国の本屋で専門書を手に入れるのには、いかに古本屋の店主と馴染みになり、奥から貴重な本を出してもらえるかによるかをエピソードを交えて述べています。古本屋の店主は「私は古本を単なる商品とは思っていません。私は古本を正しく評価できる人の手に渡す文化の仲介者だと思っています」と言う。チェコ語は、スラブ語の一つだが、スラブ語は合計13種類もあるのは初めて知りました。2026/04/16
ネギっ子gen
86
【集書の基本は、足を棒にして一軒一軒覗いて歩くことだが、集書のための最短の道は、店主と仲良くなること】言語学と関係のない雑文を集めたもの。原書は1987年に、あの大修館書店から出された名著。2025年に文庫化。<社会主義国というのは宣伝の下手な国のことである。たまたま良書が出版されても、売れないまま倉庫から古本屋にゾッキで下され、本の良さが分かって売れ始めたときには本がなくてキリキリ舞いをする/稀に幸運に恵まれて再販ということになっても、計画出版と紙の割り当てのため、10年も待たなければならない>と。⇒2026/05/06
ふう
68
新聞の書評欄で知り、タイトルに惹かれて手に取った本。表紙の絵もすてきです。著者はスラブ語を研究する言語学者で、タイトルにあるように主に当時共産圏だったプラハの古書店を中心に、古本屋の魅力、人々との交流の思い出が綴られています。言語についての部分は理解が難しくやゝ飛ばし気味でしたが、古書や出会った人々への思いは、いっしょに旅をしたかのように「プラハへの憧れ」として心に残りました。発行は1987年。その後チェコは民主国家となりました。「研究は急がないと、方言が失われていく」のは、日本でも外国でも同じなのですね2026/05/13
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