内容説明
戦後、連合国軍占領下の日本では米国兵士と日本人女性の間に生まれた子供たちが街中に捨てられ、悲惨な状況に追い込まれていることが社会問題となっていた。三菱創業者である岩崎弥太郎の孫娘で、外交官婦人でもあった沢田美喜は現状に心を痛め、女性たちが子供を託せる施設、エリザベス・サンダース・ホームの設立に乗り出す。資金繰り、世間からの差別の目、子供たちの行く末……様々な困難を乗り越え、千六百人近い子供たちを育て上げた女性の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
161
植松 三十里、4作目です。最初は三菱Gの広報小説かと思いきや、戦後の激動の時代に困難を切り開いた一人の女丈夫の半生記、感動作でした。現代ではルックスの良いハーフは、持て囃されますが、戦後すぐは酷い差別の対象だったんでしょうね。本書で、沢田 美喜の存在を初めて知りました。 https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-85979-8 2025/10/22
Ikutan
63
戦後、米国兵と日本人女性の間に生まれたG1ベビーたち。両親に捨てられ、偏見や差別で生き場を失った彼らの為に、『エリザベス・サンダース・ホーム』を立ち上げた沢田美喜。三菱財閥の創始者・岩崎弥太郎の孫娘で外交官夫人である彼女は、お嬢様育ちゆえの失敗もあったが、子どもたちを社会に送り出すまで責任を持つという揺るぎない執念で、約2000人ものG1ベビーの保護と育成に尽力した。行動力のある美喜はもちろん、右腕として彼女を支えた八重や彼女を理解し協力を惜しまない夫など周辺人物も素晴らしくて、胸の熱くなる感動作でした。2025/12/29
Kei.ma
24
主人公が抱擁する子は混血の子だった。厳しく見守る子は親を失った子だった。そしてその子らが卒園した後も、世界のどこに住まおうとも手を繋いでいて。終戦後に溢れた日本人女性とアメリカ軍兵士との間に生まれた子ら。その幸せを願い設立した児童養護施設、エリザベス・サンダース・ホーム。設立したのは沢田美喜。千手観音か阿修羅かというぐらいの八面六臂の活躍ぶり。読者は驚き、溜飲を下げ、感極まった。先祖から相続したかの豪胆ぶりは、成功の方程式さえ加減してくれたようで。ここにも素晴らしい日本人、とても誇らしい。2025/10/08
檸檬の木
23
読んでよかった。大磯にあるエリザベス・サンダース・ホーム、アメリカ人が置き去りにした行き場のない子どもを抱え路頭に迷う女性たちが子どもを託す施設。高い壁を幾つも乗り越え設立。世界中に巣立っていった千六百人という子どもの数に驚きました。成長した後のことも早くから視野に入れて小中学校を敷地内に作った沢田さんの功績は本当に素晴らしい。外の世界に旅立っていっても厳しい現実にぶち当たった人も多かったが、大人になった卒園生からのプレゼントの場面では思わず涙が零れた。素敵な一撮に巡り会えました。2025/10/04
田沼とのも
21
主人公である沢田美喜の視点で描かれる章と、奉公人だった奥村八重の視点で描かれる章が入り組んでいる。視点が入れ変わるので少し戸惑ったが、そのおかげで美喜の人物像が深掘りされて面白い。特に八重の視点で見る美喜の姿は、長所短所がやや客観的に描かれ、財閥令嬢の気高さ、猪突猛進ぶり、勇ましさが存分に伝わる。アメリカ中を周遊して、三男の思い出を胸に寄付を募る講演場面には涙したし、私は国連大使夫人だ!とアメリカ大使館にビザ交付を認めせる姿に勇気をもらった。ジュディと立川のバーでの再会、30本の薔薇のエピソードが感動的。2025/11/17




